公式サイト:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5415.html

田村栄《てのひらのヒナ(孵化3日目)》〈多摩川の鳥〉より 1954-60年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵

川内倫子《M/E》2022年 2チャンネル・ヴィデオ 東京都写真美術館蔵
ものに触れて感じる力
このたび東京都写真美術館は、「TOPコレクション Don't think. Feel.」展を開催します。
「TOPコレクション」展は、東京都写真美術館が収蔵する約39,000点の写真・映像作品をさまざまな切り口で紹介する展覧会です。令和8(2026)年度第一期のテーマは、AI時代における「感触」。「感触」とは狭い意味での触覚だけではなく、「ものに触れて感じること」を指します。現代では人工知能(AI)の急速な社会進出によって、これまで人間に特有のものとされてきたさまざまな技術や能力の優位性が揺らいでいます。こうした時代背景においてこそ、真の人間力について考えることに意義があるはずです。このコレクション展では、文化、芸術に特有の共感覚や、感性的なコミュニケーション、想像力の可能性を考えます。「感じること」の重要性を説いた香港の武術家・俳優・哲学者ブルース・リー (1940-73)の言葉「Don’t think. Feel.(考えるな、感じろ。)」を手掛かりとして、当館の写真作品から五感を触発する作品を選んだ表題のセクションを中心に、短編小説集のように5つの小テーマで構成するオムニバス形式の展覧会です。
本展のみどころ
- AI時代における「感触」我々の日常にあふれる人工知能(AI)。真の人間力とはなにか、いま、ものに触れて「感じること」の重要性を問います。本展での写真、映像作品を通して、手のひらに感じる重みや温かさ、光や風、家族との時間や歴史など、心に触れる感覚を想起し、共感覚や、コミュニケーション、想像力の可能性を考えます。また、展示作品を触図にした体験コーナーを設置し、見るだけではない、触覚と写真との関係を探る試みも行います。
- 短編小説集のように5つのテーマで作品を紹介する、オムニバス形式の展覧会
第1室「Don’t think. Feel.」を起点に、第2室「家族写真の歴史民俗学」、第3室「川内倫子〈Illuminance〉」、第4室「記憶の部屋」、第5室「イメージの奥にひそむもの」と、「感じること」を根底に、それぞれのテーマに沿った作品を紹介。五感を触発する作品を展開します。
- 当館が収蔵する隠れた名品を展示
1800年代に制作されたダゲレオタイプ*や、戦後日本の知られざる逸品も展示。39,000点を超える当館のコレクションから、注目の作品を紹介します。
*ダゲレオタイプ(1830年代末~1860年代前期)
世界最初の実用的な写真術。銀メッキをした銅板にヨウ素の蒸気をあてて光に感じるようにし撮影する。日本では「銀板写真」と称されていた。大変シャープな画像だが、一回の撮影で1点しか作ることができない。
本展の構成
第1室「Don’t think. Feel.」香港の武術家・俳優・哲学者ブルース・リー (1940-73)の言葉「Don’t think. Feel.(考えるな、感じろ。)」から着想を得たセクションです。リーは武術について「感じること」の重要性をシンプルな言葉で語りました。美術においても、身体を通して「感じること」によって、より豊かな作品体験が生まれます。マン・レイやエドワード・ウェストン、恩地孝四郎らによる触覚的な視覚表現や、田村栄〈多摩川の鳥〉(1954-60)、近藤龍夫〈湖北〉(1957-77)といった戦後日本の知られざる逸品を通して、ここでは「ものに触れて感じる展示」を体験することができるでしょう。

恩地孝四郎〈博物志〉より 1938-42年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵

齋藤陽道《星の情景》〈せかいさがし〉より 2019年 発色現像方式印画 東京都写真美術館蔵
第2室「家族写真の歴史民俗学」
川村邦光氏(文化史研究・大阪大学名誉教授)の協力により、同氏の著作『家族写真の歴史民俗学』(ミネルヴァ書房、2024年)を展示化します。同書は19世紀から現代までの家族写真の構図や撮影背景を分析し、家族の社会表象について論じています。収蔵品の中から川村氏の論じた家族写真を中心に展示し、氏による考察のテキストをあわせて展示します。

影山光洋《小麦の収穫祝い》〈家族の肖像〉より 1946年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵
第3室「川内倫子〈Illuminance〉」
〈Illuminance〉(2009)を中心とした川内倫子の写真シリーズと共に、令和7年度新規収蔵作品の《Illuminance》(2001-26)(同名の映像作品)、《M/E》(2022)(映像作品)を紹介します。光の「照度」を意味するこのシリーズは作家の代表作であり、2012年に当館で開催された個展「照度 あめつち 影を見る」において展示されました。川内は自身を取り巻く世界に目を向けて、一瞬、一瞬のうちに見出された光景を捉えます。その作品表現は、特定の時間や場所から解き放たれ、意識と無意識の間を漂うような、独特な時間感覚を見る者に与えます。

川内倫子《M/E》2022年 2チャンネル・ヴィデオ 東京都写真美術館蔵

川内倫子《Illuminance》2001-26 年 2 チャンネル・ヴィデオ 東京都写真美術館蔵

川内倫子《Illuminance》2001-26 年 2 チャンネル・ヴィデオ 東京都写真美術館蔵
第4室「記憶の部屋」
写真はなぜ人々の持つ記憶を刺激するのでしょうか。本セクションでは、見る人の記憶の奥に眠っていた感覚や感情を揺り動かす作品に着目し、関口正夫、田中長徳、稲越功一らによるスナップショットや、小林のりお〈ランドスケープ〉(1984-85)におさめられた都市の風景などを展示します。ここでは、かつてそこに確かにあった感覚や風景と邂逅するかのような、記憶装置としての写真について思索を深めます。

稲越功一〈記憶都市〉より 1986年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵
第5室「イメージの奥にひそむもの」
展覧会の終点となるこの部屋では、画面上に写るイメージの奥にある、作家固有の感性や感覚を探ります。写真固有の芸術表現を追求した中山岩太や後藤敬一郎といった戦前の写真から、森村泰昌、吉田志穂らの現代の写真まで、想像力に働きかける作品を取り上げます。作家の感性や感覚そのものに思いをめぐらすことによって、「感じること」のその先について考えることを試みます。

吉田志穂〈砂の下の鯨〉より 2021年 インクジェット・プリント 東京都写真美術館蔵

森村泰昌《独裁者はどこにいる1》〈なにものかへのレクイエム〉より 2007年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵
TOPコレクション展について
1986 年に第二次東京都長期計画で「写真文化施設の設置」が発表され、東京都写真美術館は1988年より作品収集を開始しました。学芸員の調査研究に基づき、これまでに収集された作品数は約39,000 点を超えます*。TOPコレクション展は、黎明期から現代まで写真・映像史を網羅するような、東京都写真美術館の体系的なコレクションの中から、特定のテーマに沿って作品を厳選することで、写真・映像文化への理解を深め、時代を超えて語り継がれる優れた写真・映像作品を紹介する重要な場として、毎年開催しています。*39,135点(令和8年3月31日時点)
関連事業
- 触図を使った鑑賞体験「触れて感じるTOPコレクション」展示作品の一部をもとに作成した触図を触って楽しめるコーナーを設けます。
TOPボランティアが鑑賞のお手伝いをする日もあります。
- 担当学芸員によるギャラリートーク
4月17日(金)14:00~
5月15日(金)14:00~(手話通訳付き)
5月29日(金)14:00~(手話通訳付き)
6月19日(金)14:00~(手話通訳付き)
※当日有効の本展チケット、展覧会無料対象者の方は各種証明書等をお持ちのうえ2階展示室入口にお集まりください。
- ダンス・ウェル
作品をゆったりとあじわい、からだ全体で表現してみるプログラムです。
日時:5月23日(土)14:00~15:30 定員:10名 事前申込制
講師:酒井直之(ダンサー、映像作家、ダンス・ウェル講師)
※参加方法・申込方法等の詳細は当館ウェブサイトをご確認ください。
- インクルーシブプログラム「手話を交えたQ&Aショー」
日時:6月13日(土)14:00~15:00 定員:50名
質問者:小笠原新也(耳の聞こえない鑑賞案内人)
※詳細は当館ウェブサイトをご確認ください。
開催概要
展覧会名|(和)TOPコレクション Don't think. Feel.(英)TOP Collection: Don’t think. Feel.
会 期|2026年4月2日(木)~6月21日(日)
会 場|東京都写真美術館 3階展示室(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
主 催|東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館
電 話|03-3280-0099 WEB|www.topmuseum.jp
開館時間|10:00-18:00(木・金曜日は20:00まで)※入館は閉館30分前まで
休館日|毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館、翌平日は休館。ただし5/4(月祝)は開館。5/7(木)は休館)
観覧料|一般700円(560円)、学生560円(440円)、高校生・65歳以上350円(280円)
※( )は有料入場者20名以上の団体、当館映画鑑賞券提示者、各種カード等会員割引料金
※中学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)は無料
※第3水曜日は65歳以上無料
※4月2日(木)~4月5日(日)は、「ウェルカムユース2026」キャンペーンで18歳以下無料
事業内容は諸般の事情により変更する場合があります。
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