共創プロジェクト型イベント「日本の食文化とわざの継承EXPO」開催レポート ~五つの食文化財の“わざ”が集結。次世代へつなぐ伝統の価値を、五感で体感する一日~

2026年3月2日 月曜日 3:16 PM

 文化庁は、2026年2月1日(日)に学校法人 大和学園 京都調理師専門学校にて、日本の食文化を支える多様な“わざ”をテーマにしたイベント「日本の食文化とわざの継承EXPO」を開催しました。
共創プロジェクト型イベント「日本の食文化とわざの継承EXPO」開催レポート ~五つの食文化財の“わざ”が集結。次世代へつなぐ伝統の価値を、五感で体感する一日~


 本イベントでは、ユネスコ無形文化遺産の「和食」「伝統的酒造り」と、国の登録無形文化財の「京料理」「菓銘をもつ生菓子(煉切・こなし)」「手揉み製茶」の5つの食文化財の第一人者が集結。トークセッションや体験型ワークショップ、職人による実演などを通じ、約600名の来場者が日本の食文化の奥深さを五感で体験しました。

ステージコンテンツ

 ステージでは、日本の食文化を支える“わざ”の真髄を語り合い、次世代へとその価値を「継ぐ」ことを目的とした多彩なセッションを展開しました。
■9:30- オープニングセレモニー
 文化庁長官 都倉 俊一のほか、京都府知事 西脇 隆俊氏、京都市長 松井 孝治氏、学校法人 大和学園 理事長 田中 誠二氏、特定非営利活動法人 日本料理アカデミー理事長・「たん熊北店」三代目主人 栗栖 正博氏等にご登壇いただき、本イベントの開催を記念したセレモニーを実施しました。都倉長官は「京都から日本の食文化、和の食文化を世界中に発信していくことを主たる目的とした、さまざまな体験イベントを心行くまで楽しんでいただきたい」と挨拶しました。

 その後、都倉長官、栗栖 正博氏 より、次なる担い手である学生へ書道作品の受け渡しを通して“わざのバトン”を次世代へつなぎ、会場から歓声が上がりました。





■10:30- トップ職人が集う日本の食文化を支える長(おさ)トーク
 日本の食文化を支える各分野のトップ職人が登壇し、トークセッションを実施しました。本セッションで、伏見酒造組合理事長 北川 幸宏氏は「伝統的酒造りの無形文化遺産登録」に触れ、「酒造りはチームワークであり、全員が同じ方向を向くことが大切」と説きました。特定非営利活動法人 日本料理アカデミー理事長・「たん熊北店」三代目主人栗栖 正博氏は、「“わざ”は厨房にいるだけでは身につかない。お客様の目的や表情に合わせた『おもてなしの“わざ”』こそが本質」と語り、年に一度でも料亭へ足を運び、真心の表現を体験してほしいと呼びかけました。

 また、御菓子司 塩芳軒 主人 高家 啓太氏は、客の要望に応えるためのインプットの重要性を、公益社団法人 京都府茶業会議所副会頭 吉田 利一氏は安心安全な茶づくりへの想いを語り、最後に京料理鳥米 6代目当主 田中 良典氏が「“わざ”とは言葉で表現しきれない本質的なもの」と締めくくりました。



■11:40- 生産者と茶の匠が語る『日本の製茶の“わざ“』~茶のすゝめ~
 日本が誇る「手揉み製茶」を生産現場で支える生産者と魅力を熟知する有識者の視点から、製茶の歴史から現代の技術、そしてお茶をより深く楽しむための秘訣についてトークセッションを実施しました。

 セッションの冒頭、公益社団法人京都府茶業会議所 副会頭 吉田 利一氏は宇治茶の歴史に触れ、かつて高山寺で栽培されたお茶が「本茶」と呼ばれ、日陰で育つことで生まれる独特の旨みが宇治茶の礎となったことを語りました。共栄製茶株式会社 副本部長 立開 康司氏は、製茶の機械化について解説。100年以上の単位で手法が変わり、流派の違いがあるなかで、手揉みの繊細な動きを忠実に再現しようとした試行錯誤の歴史を披露しました。

 最後に、お茶を日常で楽しむためのアドバイスとして、吉田氏は「喉を潤すのはペットボトルでいい、急須で淹れたお茶は心を潤してくれる」と語り、急須で茶を淹れる贅沢さを説きました。



■12:30- 伝統的酒造りとは何か~現場に息づく“わざ”を語る~
 伏見の醸造家たちが登壇したセッションでは、地域に根ざした酒造りの特長や、その継承について語られました。伏見醸友会 酒米研究委員長 藤原 久志氏は、伏見のお酒について「京都は地下水が豊富で、程よくミネラルを含む。なめらかで京料理に合う良いお酒ができる条件で酒造りをしている」と特徴を語りました。伏見醸友会 代表幹事 松本 明氏は「伏見には酒蔵が20数社あるが、2キロ四方にかたまっている。各社壁なく、色々な情報交換をしているのが伏見ならではの特徴」と語り、伏見醸友会 技術研究委員長 北岡 篤士氏は次世代育成の工夫や低アルコール商品によるエントリー層へのアピールについても触れ、伏見ならではの酒造りについて理解を深める場となりました。



■13:20- 日本の四季をかたちにする生菓子の“わざ” ~菓銘・餡・道具をめぐる職人たちの対話~
 京菓子・京金網の密接な関係に焦点を当てたステージでは、「作る側」「支える側」の2つの視点から「菓銘を持つ」ということについて語っていただきました。
株式会社鍵善良房 店主 今西 善也氏は、「何を知っているかによって、京菓子の奥行きは広がる」と語り、菓銘や素材、背景への理解が味わいを深めることを紹介しました。
金網つじ 代表取締役 職人 辻 徹氏は、「伝統工芸の道具は修理を前提につくられている」と述べ、職人の手仕事を支える道具の在り方について説明。会場では、きんとんふるいや裏漉し機、せいろなどの道具に実際に触れる体験も行われ、生菓子の“わざ”を身近に感じられる時間となりました。



■14:10- 伝統の先に、未来がある ~次世代が語る日本の“わざ”~
 次世代の職人による対話で、甘春堂取締役社長 木ノ下 稔氏は「手取り足取り教わるだけではわからないこともあるため、見て考えて盗んで、自分のなかに自分のわざとして昇華することが重要」と、技術習得の極意を語りました。「菊乃井」次期四代目 村田 知晴氏は、「“わざ”を学びたい人には国籍を問わず伝えていく。一方で、最高峰のものは京都にあるという状態を死守したい」と決意を表明しました。伏見酒造組合 理事 山本 晃嗣氏や宇治茶製法技術保存協会 吉田 修平氏も加わり、各分野の現場におけるコミュニケーションと継承のリアルな姿が語られました。



体験コンテンツレポート

 第一線で活躍するプロの技術を間近で学び、その奥深さを直接体験できる多彩なワークショップを開催しました。
■銘酒と京料理の日本酒ペアリング体験
 伏見の3酒蔵(北川本家・松本酒造・山本本家)の銘酒と、京都の料亭「乙文」による京料理を合わせるペアリング体験を開催しました。専門的な解説に真剣に耳を傾ける参加者の姿が印象的で、「料理ごとに合うお酒が明確に分かり、日本酒の楽しみ方が広がった」といった驚きと喜びの声が寄せられました。



■職人に学ぶ京菓子・生菓子の“わざ”体験
 京都くりや、船屋秋月、芳治軒、笹屋春信の職人方を講師に迎え、京菓子に込められた歴史や季節感をテーマに、鮮やかな手捌きを間近で体感できる実演型ワークショップを開催しました。参加者の関心も非常に高く、職人との対話を通じて繊細な造形美や表現の妙を深く味わう、質の高い体験の場となりました。



■美しく魅せる―職人に学ぶ盛り付けの“わざ”体験
 松正 小笹 正義氏や美濃吉 佐竹 洋治氏から、和食・京料理の基礎や「弁当」を題材とした美しい盛り付けを学ぶワークショップを開催しました。職人の指導を受けながら実際に一人一重を盛り付けていく贅沢な内容に、会場外からも見学者が訪れ、感嘆の声があがっていました。



■茶の“わざ”と味わいに触れる―茶の飲み比べ体験
 京都府茶協同組合の指導のもと、茶づくりや淹れ方の解説とともに、製法の違いによる香りや味わいの変化を確かめる体験型コンテンツを開催しました。少しの手間による味や香りのバリエーションに対し驚きの声が寄せられました。



■和食・京料理の味の奥行きを知る だしの“わざ”体験
 たん熊北店 栗栖 熊一氏、矢尾治 上田 壱盛氏、美濃吉 佐竹 洋治氏、魚三楼 荒木 裕一朗氏らが登壇し、一番だし、精進だし、そして希少な鼈(すっぽん)だしの3種を飲み比べ、和食の真髄を学ぶプログラムを開催しました。参加者は極上のだしの風味を一つひとつ確かめ、日本料理の味を支える“わざ”の奥行きを深く実感している様子でした。



その他コンテンツレポート

 エントランスや中庭、駐輪場スペースでは、普段は目にすることのできない職人の息遣いや、厳選された食の逸品に触れられるコンテンツが展開されました。
五感を刺激する職人の実演パフォーマンス
 千本玉壽軒 元島 淳一郎氏、かぎ甚 太田 雄一郎氏、鎰良光 高木 淳平氏らによる京菓子の製作実演や、名店「いづう」 佐々木 勝悟氏による伝統的な「鯖姿寿司」づくりの実演が行われました。一流職人が見せる繊細な道具使いや淀みのない包丁捌きを来場者の目の前で披露し、職人の圧倒的な気迫や完成した菓子の試食体験等を通じて“わざ”の真髄を多角的に体感していただきました。





■“わざ”を凝縮した物販・飲食コーナー
 物販コーナーは名店が手掛ける食の数々を求めて多くの来場者で賑わいました。特に京都の一流料亭による「料亭のお弁当」特別限定販売では、普段は店舗でしか味わえない逸品を気軽に楽しめるとあって、昼食時間帯を前に購入を待つ列ができるほどの盛況となりました。また、キッチンカーエリアでは、多彩なメニューを気軽に楽しむ姿が見られました。





イベント概要

タイトル:日本の食文化とわざの継承EXPO
開催日:2026年2月1日(日) 9:00-16:00(全館開場10:00~)
会場:学校法人 大和学園 京都調理師専門学校
   (住所:京都府京都市右京区太秦安井西沢町4番5)
URL:https://www.bunka.go.jp/waza_japans_cuisine_heritage/

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