Landscapes With a Corpse展@icon

これまで伊島薫(Izima Kaoru)の『Landscapes With a Corpse』は、これまで日本で本格的な展覧会が開催されたことがなく、展示された実作品を観たことのある人はほんの一握りといえる。
現在iconギャラリーで開催中の本展は、これもまたメタバース上のバーチャル画像ではあるものの、日本だけでなく世界的にも、このシリーズの作品をまとめて俯瞰出来る初めての機会である。さらに本展は、バーチャルとはいえ写真集などで見るだけでは伝わらない、実際の作品のスケール感を体感出来る極めて稀な機会だといえる。
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About icon
写真は、カメラ・オブスキュラの正確な遠近法から、今日のデジタルによる「機械的な絵画」へと進化を遂げ、かつてない色彩と質感の表現を通じて、従来の媒体の枠を超越しました。iconは、古代の美学哲学と最先端技術を融合させ、記録と創造、伝統と革新の間の深遠な境界を探求する視覚的物語を紡ぎ出す、現代の日本人アーティストを支援しています。キュレーションされた展覧会やデジタルプラットフォームを通じて、私たちは日本の写真家たちがいかにして世界の視覚的言説を再定義しているかを浮き彫りにし、文化の鏡であると同時に、人間の経験への普遍的な窓としての役割を果たす多様な写真表現を紹介しています。
池谷友秀
https://www.spatial.io/s/Landscapes-with-a-Corpse-62ebcb4606d5040001db60cc?share=5514685804890922308&utm_source=ig&utm_medium=social&utm_content=link_in_bio&fbclid=PAZXh0bgNhZW0CMTEAc3J0YwZhcHBfaWQMMjU2MjgxMDQwNTU4AAGnvHRP4E7yrJoVn5G4cGH08S8D_NZ_D1TzqN2tnytcomi20ELhS7VvdiSbKI8_aem_ILjT18Dry199rC4sO9SI1Q

4月1日、21時からトークイベントあり。
『Landscapes With a Corpse』
Izima Kaoru
1993年、ファッション・フォトグラファーとして活躍中の伊島薫が、ファッション・フォトのモデルが死体であってもいいのでは…という思いつきから始まったコンストラクテッド・フォトの連作。
当初そのアイデアは誰にも取り合ってもらえず、モデルになってくれる人もなく、実現が難しいかと思われたが、小泉今日子氏がモデルを引き受けてくれたことにより急展開し最初の撮影を敢行。しかし発表する媒体がなかったことから伊島自身がファッション誌「ジャップ」を創刊してこの作品を発表することに。それによりこの作品がファッション写真であるという体裁も担保された。
撮影にあたっては、まずモデルに「あなたはどういう死に方をしたいですか」という質問を投げかけるところから始め、その答えからヒントを得て撮影場所やシチュエーションを考え、ロケーション・ハンティングを行い、必要な大道具小道具などを誂えるといった、周到な準備を経て撮影に臨むため、最初のモデルへのインタビューから撮影までに要する期間は、時に一年以上に及ぶこともあった。
衣装はシリーズの全作品を通じて伊島の妻である安野ともこが担当した。
『Landscapes With a Corpse』というタイトルは、日本語の『死体のある風景』を英語訳したものであり、伊島がイメージしたのは、「美しい景色を撮影しようとファインダーを覗いていると、風景の一部に異物が存在することに気づき、それを確かめるために近寄っていくと、そこには美しい死体が横たわっていた。」という、写真家の視点である。
そのため作品の多くは3点から5点で構成されている。制作は長年に亘り、回を重ねるうちにその視座はモデルである死者の魂が肉体から離脱し天に昇っていく過程で、自分の最後の姿を俯瞰して見ている、というvisionに変化して行った。
そこで伊島は日本で出版した2冊目の写真集ではタイトルを『死体のある風景』から『最後に見た風景』へと変更している。しかし欧米ではこの視点はあまり理解されず、2006年にドイツのハッチェ・カンツから発刊されたこのシリーズの集大成的な写真集のタイトルは『Landscapes With a Corpse』である。
作品を展示する際には風景写真としてのスケール感を醸し出すために大きなサイズを採用している。そのため欧米のギャラリーでも、一度の個展で展示できるのは多くても3作品までで、これまで美術館を含めこのシリーズの全貌を俯瞰的に観ることができる展覧会が開催されたことは一度もない。
そのため本展は、『Landscapes With a Corpse』シリーズの全貌とまでは言えないまでも、その多くを一望出来るはじめての展覧会ともいえる。
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