コピグメント効果を利用した青みを帯びたバラの分子育種に成功
サントリーグローバルイノベーションセンター(株)は、コピグメント効果※1を利用して青みを帯びたバラの分子育種※2に成功しました。本研究の成果は、世界各国の園芸学関係者が集う国際会議「第32回 国際園芸学会議(IHC2026)※3」で発表しました。
※1 色素が他の成分と組み合わさることで、色がより濃く見えたり、青みが増して見える現象
※2 遺伝子情報を分子レベルで解析・利用して行う、効率的な品種改良
※3 8月23日(日)-8月28日(金)に京都で開催
▼研究テーマ
「アントシアニンとフラボンC-配糖体によるコピグメント効果を利用した、青みを帯びたバラの分子育種」
▼研究者
サントリーグローバルイノベーションセンター(株)
伊藤星太郎、勝元幸久、興津奈央子、田中良和、中村典子
(公財)サントリー生命科学財団
菅原孝太郎
Flores Luna Nueva S.A.S.
Liana Cecilia Tovar Duarte, Carlos Eduardo Romero Vasquez
▼研究の背景と経緯
サントリーグループは、1990年に長年“不可能の象徴”とされてきた青いバラの研究プロジェクトを開始。14年にわたる研究を経て、2004年には、青色色素デルフィニジンを高蓄積する青いバラ※4の開発に世界で初めて成功しました。上市後も、より青みの強い花色を実現するため、研究を継続してきました。
※4 2009年からサントリーフラワーズ(株)が「サントリーブルーローズ アプローズ」として販売
▼研究方法
デルフィニジン型アントシアニン(Del-An)とフラボンC-配糖体(FCGs)を組み合わせることで、コピグメント効果による青みの向上を目指しました。まず、花色を再現する試験により、有効な成分の組み合わせを選定しました。次に、両成分の生合成に必要な4つの遺伝子をバラへ導入し、新規色素の蓄積と花色変化を解析しました。さらに、自然環境下で、青みのある花色が安定して発現するかを評価しました。
▼研究成果
花色再現試験の結果、Del-Anの一種であるマルビンと、イソビテキシンやイソオリエンチンなどのFCGsを組み合わせることで、強いコピグメント効果が得られることを確認しました。次に、これらの成分をバラ花弁で作り出すため、色素の生合成に必要な4つの遺伝子をバラへ導入しました。その結果、マルビンおよびイソオリエンチンが新たに蓄積し、violet-blueの花色が発現しました。また、FCGsが多くなるほど、より顕著な青色化が認められました。さらに、得られた系統をバラの主要生産地であるコロンビアで3年間栽培し、自然環境下でも青みのある花色が安定して発現することを確認しました。
▼今後の展望
2004年、長年“不可能の象徴”と言われていた青いバラの開発に成功してからも、より青みの強い花色の実現を目指して研究を続けてきました。今回の成果は、その挑戦の延長線上にある新たな一歩です。
バラが本来持たない青みのある花色を実現するためには、植物が持つ色の仕組みを深く理解し、再構築することが必要です。これは、植物科学における大きな挑戦でもあります。本研究をさらに発展させることで、より青みの強い花色の発現や安定化につながることが期待されます。また、本研究で得られた知見はバラにとどまらず、他の植物への応用も期待され、植物科学のさらなる発展に貢献するものと考えています。
サントリーグローバルイノベーションセンター(株)は、サントリーグループの価値向上、事業成長のための研究・技術開発を担う機関です。新たなお客様価値の創出を目指し、先端技術や自然科学を探求しています。
▼サントリーグローバルイノベーションセンター(株)ホームページ
https://www.suntory.co.jp/sic/
▼世界初!「青いバラ」への挑戦
https://www.suntory.co.jp/sic/story/bluerose/
以上
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