観光繁忙期の案内業務を、AIと人でどう分担するか。長瀞町、船玉まつりで平時の22.6倍となった質問ログを検証




長瀞町、一般社団法人長瀞町観光協会、JetB株式会社は、2026年8月15日に開催された「長瀞船玉まつり」で、長瀞町公式マスコットキャラクター「とろにゃん」を活用したAI観光案内の利用状況を検証しました。

1日当たりの質問数は、通常期の11.8件/日から開催直前には47.4件/日、祭り当日には266件/日へ増加し、当日は通常期の約22.6倍となりました。当日の質問の86.1%は、利用者自身のスマートフォンから寄せられました。

本検証では、AIの利用量を示すだけでなく、観光繁忙期に繰り返し寄せられる問い合わせをAIがどこまで一次受けし、どのような質問を人や公式情報へつなぐべきかを、平時との比較と会話ログから検証しました。

分析の結果、案内需要は開催前から高まり当日に急増し、AIが質問の受け皿になり得ることが分かりました。一方、最新性・安全性・個別判断が必要な質問は、人や公式情報へつなぐ必要があることも確認しました。

1.質問数は「通常期→開催直前→当日」と段階的に増加

比較する指標を「1日あたりの質問数」に統一すると、通常期11.8件、開催直前47.4件、当日266件となりました。

※各期間の日数が異なるため、増加の比較には期間合計ではなく1日あたりの質問数を使用しています。



開催直前の段階で質問数は通常期の約4.0倍となり、当日は約22.6倍まで増加しました。開催日時、駐車場、アクセス、開催可否など、来訪判断に必要な情報は開催前から求められ、当日に案内需要が集中することが分かりました。

2.当日の質問の86.1%がスマートフォン経由

当日の266件のうち、229件が利用者自身のスマートフォン、37件が長瀞駅前観光案内所のサイネージから寄せられました。

スマートフォンから利用できるようにしたことで、専用端末を増設せず、利用者自身の端末へ案内接点を拡大できました。



3.定型ボタン以外の質問が66.2%、周辺観光にも需要

画面上の「船玉まつりについて」「長瀞の観光名所について」という定型ボタンから送信された質問は90件でした。残る176件は、定型ボタン以外から送信された質問です。

定型ボタン以外から送信された176件だけでも、通常期の1日平均11.8件の約14.9倍に相当します。自由入力では、開催可否、花火のプログラム、観覧場所、駐車場など、利用者の状況に応じた具体的な質問が寄せられました。

質問内容では、船玉まつり関連が156件で最も多く、観光スポット、飲食店、施設の営業時間、川下りなど、一般観光に関する質問も59件ありました。このうち37件は定型ボタン以外から寄せられており、一般観光に関する質問の62.7%を占めています。

イベント当日であっても、質問は祭りの情報だけに限定されません。繁忙期のAI観光案内には、イベント情報と周辺観光情報の双方を維持する必要があります。
質問内容は、開催前の行動計画から開催中の進行確認へ
当日の質問ログを時間帯別に集計し、1時間当たりの質問数に換算したところ、祭り開始前の14時から17時過ぎが約31.3件で最も多くなりました。定型ボタンによる質問を除いても約17.1件/時で最多となり、開催可否、開始時間、観覧場所、駐車場、周辺観光など、当日の行動判断に関する質問が寄せられました。

また、一般観光に分類された59件のうち、51件(86.4%)が祭り開始前に寄せられました。「今日は船玉まつりに行きます」と伝えた後に、ランチや飲食店について続けて尋ねる利用も確認されています。実際の訪問や消費を示すものではありませんが、祭り前の食事や周辺観光を検討する際にも、AI観光案内が利用された可能性があります。

花火開始後には、「今何番目」「現在のプログラムを教えて」など、進行状況に関する質問が見られました。時間帯によって、求められる案内が「当日の行動計画」から「リアルタイム情報」へ変化する傾向が確認されました。

時間帯ごとの主な情報需要を整理すると、次のようになります。

4.AIが一次受け、最新情報・個別対応は人や公式情報へ

当日の回答のうち、有人窓口、施設、事業者などへの確認を明示したものは18件、公式サイトへの案内を含むものは21件でした。両方を含む5件の重複を除くと、計34件、全質問の12.8%で人または公式情報への案内が行われていました。

AIによる一次案内に適した情報
- 祭りの概要・開催時間
- 会場、登録済みのプログラム
- アクセス、交通規制、駐車場
- 周辺観光、施設情報

人・公式情報へつなぐ情報
- 開催可否、直前の変更
- 交通機関の最新運行情報
- 現在の混雑、施設の営業状況
- 安全対応、個別判断

AIですべてを完結させず、登録済み情報はAIが一次案内し、最新性・安全性・個別判断が求められる質問は、人や公式情報へつなぐ運用が必要です。

5.今回の実証で確認できたこと、判断できないこと

今回確認できたこと
- 質問数は通常期、開催直前、当日の順に増加した
- 当日の質問の86.1%がスマートフォンから寄せられた
- 定型ボタン以外の質問が66.2%を占めた
- 34件で人または公式情報への案内が行われた
- 開催前に需要が集中し、開催中は進行確認へ移る傾向が見られた

今回のデータだけでは判断できないこと
- 実際の利用者数
- 回答内容の正確性や、利用者が自己解決できた割合
- 職員、スタッフへの問い合わせ件数や対応時間の削減量
- 繁忙日における多言語対応の有効性
- 質問後の実際の移動、施設への訪問、購買行動

長瀞町コメント

「長瀞船玉まつり」には、例年およそ7万人もの皆さまにお越しいただいております。開催に向けては、観光協会や町の職員が準備に追われるなか、通常業務と並行して、数多くのお問い合わせに対応しているのが実情です。

とりわけ近年は若年層の観光客が増えており、夏休み期間中はお祭り当日以外にも観光に関するお問い合わせが増加します。

今回の実証では、「とろにゃん」によるAI観光案内が、開催前から当日にかけて寄せられる基本的なお問い合わせの受け皿となり得ることを確認できました。一方で、当日の運行状況や安全に関わる情報など、人がお伝えすべき事柄も明確になりました。

今回得られた結果を、今後の観光案内のあり方を考えるうえでの参考としてまいります。

実証・サービス概要





数値の見方
- 質問数はAIに送信された質問の総数であり、利用者数とは一致しません。同一の利用者による複数の質問や、画面上の定型ボタンによる質問も含まれます。
- セッション数は同一利用者による再アクセスを含み、実利用者数とは一致しないため、本リリースでは質問数を主要指標として分析しています。
- 通常期はスマートフォンでの利用開始前に当たるため、端末別構成は祭り当日の実績のみを示しています。
- 質問分類、人への確認案内、公式サイトへの案内は、会話ログをもとに暫定的に分類しています。システムが回答を返したことは、回答内容の正確性や利用者の自己解決を示すものではありません。
- 祭り当日の外国語利用は確認されませんでした。通常運用では外国語で利用された事例もありますが、今回の結果だけでは、繁忙日における多言語案内の有効性を評価するには至っていません。
- 第1弾で予定した検証項目のうち、本リリースでは統一条件で比較できる質問数を主軸とし、端末別構成、質問内容、人・公式情報への案内状況を当日の内訳として分析しました。
- 時間帯別の比較では、区分ごとの長さの違いをならすため、質問数を1時間当たりに換算しています。
- 利用時間帯、回答精度、未回答、障害・復旧状況、情報更新回数は、統一基準による定量評価に必要なデータが十分でないため、今回の結論には含めていません。
- 2026年度の実来場者数が未確定のため、来場者当たりの利用率は算出していません。


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取材・掲載に関するお問い合わせ

JetB株式会社
電話:03-5919-0044
メール:[email protected]

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