【開催報告】和歌山県由良町×SHIBUYA QWS、海の“厄介者”「あかもく」の新たな活用案を創発

かつて漁船を悩ませた「あかもく」を美味しく健康的な特産品へ。近畿大学と開発した美容液「アキュラ」の紹介や試食ワークショップを実施




和歌山県由良町(産業振興課)および地元の漁業者で結成された「紀州あかもく会」と、渋谷スクランブルスクエア15階の共創施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ/以下、QWS)」(運営:渋谷スクランブルスクエア株式会社)は、2026年8月21日(金)、由良町の海でかつて厄介者とされていた海藻「あかもく」をテーマにした体験型共創イベント「YURA LAB(ゆらラボ) in SHIBUYA QWS」を開催しました。
本イベントには、都内のトレンドに敏感なクリエイター、飲食店オーナー、シェフ、食品バイヤー、地方創生やサステナブルに関心のある社会人や学生など約30名が参加。由良町から東京へ駆けつけた現役の漁師さんたちをゲストに迎え、あかもくの試食を交えながら、新たな食べ方や販路、プロモーションのアイデアを創発する活発なワークショップと交流が行われました。










開催の背景:海の“邪魔者”から、地域を支える「海のスーパーフード」への大転換

和歌山県の中央部に位置する由良町は、美しい海と豊かな自然に囲まれた町です。しかしこの海では、かつて漁に出る船のスクリューに絡まり、漁師たちから「邪魔者」として嫌われていた海藻がありました。それが「あかもく(通称:ジャマモク)」です。
しかし、この厄介者を「地域の宝物に変えられないか」と地元の漁師たちの情熱と試行錯誤が始まりました。あかもくは実はミネラル、食物繊維、フコイダンを豊富に含む、シャキシャキ・ネバネバとした抜群の食感を持つ「海のスーパーフード」であることが判明。加工技術を確立し、独自の地域ブランド「紀州あかもく」として商品化に成功し、今では地元の名物「あかもく丼」として愛される存在となっています。
さらに、あかもくの加工中、ぬるぬるとした手作業を続けていた漁師たちの手が驚くほど美しくなったことに着目。近畿大学との共同開発により、あかもくの成分を活かした美容液「Acura(アキュラ)」の開発・販売にも至りました。今回は、この地域のストーリーを持つあかもくの魅力をさらに全国の飲食店や食卓へ届けるため、QWSに集う多様なプレイヤーの「問い」と掛け合わせ、新しい食べ方や広め方のアイデアをデザインするワークショップが企画されました。

第1部:インプット「あかもくが地域の宝物になるまでのストーリー」

第1部では、「紀州あかもく会」の立ち上げメンバーであり、普段は定置網漁を営む市川 将彦(ま~くん)氏と、現場の海を知り尽くす潜り漁師の浜田 博光(ヒロ)氏が登壇しました。
また、由良町水産担当職員から、収穫してから洗浄し、一度茹でることで茶色から鮮やかな緑色に変化するプロセス、そしてゴミや砂を取り除いてペースト状に加工・冷凍するまでの、すべて手作業で行われるこだわりの加工工程が紹介されました。「これほど体にも良く、地域資源を活かしたサステナブルなストーリーがあるにもかかわらず、都市部での知名度がまだまだ低い」という、現在直面しているリアルな地域課題が共有されました。






第2部:体験型ワークショップ「あかもくを美味しく、新しく届けるには?」

第2部では、QWS内の「SHARE KITCHEN」を舞台に、あかもくの試食を実施。定番のポン酢やだしに加え、ごま油、マヨネーズ、ステーキソース、さらには由良町の特産品である天狗醤油や八朔胡椒、ガーリックオリーブオイルなどと組み合わせたオリジナルの「あかもく丼」や、うどん、お味噌汁、食パン(トースト)との掛け合わせを試しました。
試食中、参加者と漁師が膝を突き合わせてディスカッションを行い、以下のような都市部ならではの斬新かつ具体的なアイデアが多数創発されました。

1. 地域特産品の掛け合わせ「摘果みかんあかもくポン酢」
由良町のもう一つの名産である「みかん」に着目。間引きされた「摘果みかん」のさわやかな果汁とお醤油、あかもくをブレンドした由良町ならではの特製ポン酢を開発する。地域資源を無駄にしない持続可能な特産品開発案です。
2. トレンドを生み出すPR「ゲリラ炊飯コラボ・あかもく丼」
路上で突如ご飯を炊き始めるユニークな活動を行う「ゲリラ炊飯」グループとコラボレーション。街中で炊きたてのご飯にあかもくを豪快にのせて振る舞うイベントをゲリラ的に開催し、SNSでの圧倒的なバズと話題性を狙うプロモーション案です。
3. 自宅で楽しむ「由良の海の幸・丸ごとミールキット」
あかもくだけでなく、由良町が誇るアジやヒラメ、ハモなどの魚介類をあかもくとセットにし、解凍するだけで自宅で贅沢な地魚あかもく丼が作れるミールキットとして流通させ、購入ハードルを下げる販路開拓案です。
4. 温スープへの応用「とろみと酸味を活かした酸辣湯(サンラータン)」
あかもくの最大の特徴である粘り(とろみ)を活かし、お酢とラー油を加えて温かいスープ(酸辣湯)の具材として提供する。スープに自然なとろみがつき、酸味との相性も抜群のヘルシーメニュー案です。
5. 現地を追体験する「漁師小屋風・塩ごま油おにぎり」
漁師小屋のプラスチックカゴに盛られた炊きたてご飯に、シンプルにあかもく、ごま油、塩をかけて食べるという、現地流のワイルドな『体験価値』をおにぎりや居酒屋のスピードメニューとしてパッケージ化し、ビールのつまみとして提案する案です。
6. 食感を楽しむ郷土風グルメ「あかもくのかき揚げ天ぷら」
沖縄などで食される「もずく天」から着想を得て、細かくペーストする前のあかもくを主役にしたボリューム満点のかき揚げ。サクサクの衣と、加熱することで際立つあかもく特有の食感が楽しめます。温かいうどんのトッピングとしても相性抜群の和食メニュー案です。
7. ヘルシーな新定番「お肉不使用、ヘルシーあかもく餃子」
あかもくの強い粘り(とろみ)を餃子の餡のつなぎとして活かし、お肉を一切使わないヘルシー餃子。ディスカッション中、参加者から「お酢とラー油を合わせると非常に美味しい」と好評だった点から着想を得ました。ヴィーガンや健康志向の高い都市部ユーザーの心をつかむ、時代にマッチした商品開発案です。
8. 紀州が香るワンプレート「由良の八朔胡椒香る、和歌山あかもくパスタ」
日本のエーゲ海と言われる由良町の白崎海岸を発想の契機とし、由良町産「八朔(はっさく)胡椒」の爽やかな香りとピリッとした辛み、そしてガーリックオリーブオイルをベースに、あかもくをたっぷりと和えたパスタ。トッピングに紀州南高梅を添えることで、五感で「由良町」を丸ごと堪能できるご当地イタリアン案です。
9. 原点にして究極のローカルフード「お取り寄せ、由良のガチ漁師飯」
洗練された味覚が溢れる都市部だからこそ、あえて小細工せず、現地の漁師が日常的に食べているシンプルで力強い食べ方をそのまま提供するアイデア。飾らない「ありのままの由良の味」こそが最大のキラーコンテンツになり得るという発見に基づき、産地直送で本物のローカル体験を届ける究極のファン獲得案です。
10.夏の栄養チャージ「フェス飯あかもく丼」
海藻類の中でも特に豊富な栄養素を含むというあかもく。独特の粘りがあることで食べやすく、暑い中、短時間で空腹を満たしながら栄養も取りたいという夏フェス飯にもって来いでは。新たな認知拡大・販売促進案です。

今回創発されたアイデアは、今後、由良町産業振興課および紀州あかもく会にて、商品開発やプロモーションの実証・実装に向けた具体的な検討を進めてまいります。











交流会の様子

イベントの最後には、参加者が漁師の市川氏、浜田氏と名刺交換やカジュアルな歓談を行い、由良町の漁業の現状やこれからの展望について熱い意見交換が行われました。






■ ゲストコメント
紀州あかもく会 代表 市川 将彦(ま~くん)氏
「普段、地元ではポン酢や醤油で食べるのが当たり前で、味をしっかりつけなければ商品として成立しないと思い込んでいました。しかし今日、東京の皆さんから『シンプルにごま油と塩だけでめちゃくちゃ美味しい』『漁師小屋の雰囲気そのものが価値になる』と言っていただき、目から鱗が落ちる思いです。教えていただいたパスタやスープ、おにぎりなどのアイデアをヒントに、都会の食卓でも手軽に使っていただける商品づくりや、乾燥スナックなどの加工にも新しく挑戦していきます!」

■ SHIBUYA QWS 担当者コメント
渋谷スクランブルスクエア株式会社 SHIBUYA QWS コミュニティマネージャー 米山 孝生氏
「QWSでは、地域の隠れた素材のPRや新たな社会価値創出のサポートなどに日々取り組んでおります。今回の由良町様、紀州あかもく会様との取り組みは、地方が抱える『知名度』というリアルな課題を、QWSに集うプレイヤーたちが五感(試食)を通じて自分事化し、共に解決策を練るという素晴らしい共創モデルとなりました。海の厄介者が地域に貢献できる素材として、未来の美味しいパートナーとなり日本の食卓や美容シーンを変革していく未来を描ける。そんな活動をQWSはこれからも共創のハブとして応援し、連携を深めてまいります。」

■ 主催者・共創施設概要
■ 和歌山県由良町について
和歌山県の中央部に位置する由良町は、美しいリアス式海岸が広がる自然豊かな町です。主産業である漁業や、温暖な気候を活かした柑橘類の栽培(由良みかんなど)が盛んです。現在、スマート農業・漁業の推進や、関係人口の創出など、持続可能な地域づくりに向けたイノベーションを積極的に支援しています。 公式サイト:https://www.town.yura.wakayama.jp/
■ 紀州あかもく会について
由良町の定置網漁師や潜り漁師などの漁業関係者が、かつて邪魔者として嫌われていた海藻「あかもく」の価値を見出し、地域ブランド「紀州あかもく」として商品化・普及させるために結成した組織です。あかもくの漁獲から加工、レシピ開発、さらには美容液「アキュラ」の展開など、海と地域の未来を守る活動を多角的に行っています。
■ SHIBUYA QWSについて
SHIBUYA QWSは多様な人たちが交差・交流し、社会価値につながるアイデアや新規事業を生み出すことを目指した共創施設です。2019年11月1日、渋谷駅直結・直上の渋谷スクランブルスクエア15階に開業した、独自のプログラムを提供し、これまでに490を超えるスタートアップやプロジェクトを支援してきました。 公式サイト:https://shibuya-qws.com/

<渋谷スクランブルスクエア 概要>
名称: 渋谷スクランブルスクエア/SHIBUYA SCRAMBLE SQUARE
事業主体: 東急(株)、東日本旅客鉄道(株)、東京地下鉄(株)
所在: 東京都渋谷区渋谷2丁目24番12号
運営会社: 渋谷スクランブルスクエア(株)
開業: 2019年11月1日
URL: https://www.shibuya-scramble-square.com

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