上方落語の次代のスターをあなたが選ぶ!『マルエスPresents 神戸新開地・喜楽館AWARD2026』今年も白熱の予選リポート
地域の街興しと上方落語の更なる発展を目指して、今年も上方落語の定席「神戸新開地・喜楽館」とABCラジオがタッグを組んだ「マルエスPresents 神戸新開地・喜楽館AWARD2026」。
開催4年目を迎えた今回も、上方落語の次代を担う総勢26名の精鋭たちによって白熱の予選が繰り広げられました。
以下は、放送作家・漫才作家・落語作家として活躍し、当イベントのブレーンを務める米井敬人さんが記した予選のリポートです。
今年も「マルエスPresents 神戸新開地・喜楽館AWARD2026」の季節がやってまいりました。上方落語の定席「神戸新開地・喜楽館」とABCラジオが共催し、上方落語の更なる発展を目的とした大会です。
対象となるのは入門16年から25年までの上方の落語家さん。予選は喜楽館にお越しいただいた観客の皆さんによる投票で、決勝では観客に加えてABCラジオのリスナーの皆さんも審査員として直接参加していただくのが大きな特徴です。持ち時間は12分を目処に、長過ぎたり短過ぎたりすると「イエローカード」(注意)や「レッドカード」(失格)が出されます。
この「上方落語の次代を担う看板スター」を選ぶコンテストは、2023年の第一回は桂雀太さん、2024年の第二回は桂ちょうば(現・米之助)さん、昨年、2025年の第三回は桂佐ん吉さんが栄冠に輝きました。
そして今回、初出場となったのは、2010年に入門された月亭天使(つきてい・てんし)さん、桂鞠輔(かつら・まりすけ)さん、桂紋四郎(かつら・もんしろう)さん、桂あおばさんの4人。新しい顔ぶれにも注目が集まりました。それでは4日間にわたって熱戦が繰り広げられた予選をレポートします。
予選初日
まずは初日、9月1日(火)。
今年もメインでお囃子を務めていただくのは、三味線の内海英華(うつみ・えいか)さん、鳴物として笛の林家染八(はやしや・そめはち)さん、太鼓の笑福亭呂翔(しょうふくてい・ろしょう)さん。毎年おなじみのトリオで、通称「内海英華とサンドバッグス」です(いつも舞台袖で英華さんにトークでボコボコにされていることから呂翔さんが命名)

開場前、17時半から舞台上に出演者とスタッフが集合して、ABCラジオ・戸谷プロデューサーを中心にルールの最終確認と出番順の抽選が行われます。

順番が決まったあとの雰囲気は予選各日で全然違う感じになりますが、この日はピリつく感じがゼロ。それもそのはず、この日は桂ちきんさんが楽屋でずっとしゃべりっぱなしで、舞台スタッフと映画「ちいかわ」の話を熱くするなど、自由奔放な空気を醸し出してとても和気藹々。

開場時に演奏される「二番太鼓」では、出場者の團治郎さんが太鼓を、治門さんが拍子木を担当。本番中の出囃子も手が空いている出場者がお手伝い。大会に出る演者自らが演奏するのは落語の大会ならではの光景です。
そして18時30分、ついに開演。出囃子「六甲おろし」に乗って伊藤史隆支配人が登場するも、客席の空気はやや硬く、観客の皆さんの「審査員」としての意気込みや緊張感が伝わってきます。
そんな中、トップバッターの桂治門(かつら・じもん)さんがマクラで「みなさん、私のこと最後まで忘れないで下さいね」「私が終わったら、みなさんケータイの電源入れて下さいね。気が散るんで」と笑いを取り、一気に客席の空気がほぐれました。治門さんの演目は「茗荷宿」(みょうがやど)。宿泊客が宿に預けた百両を忘れるよう、宿主がひたすら茗荷をすすめるくだりが笑いを誘いました。
桂團治郎(かつら・だんじろう)さんは爆笑連発の「皿屋敷」を披露。幽霊のお菊さんが井戸から出てくるときのハメモノ(効果音)「ヒュードロドロドロ…ボーン」の笛とドラを、染八さんが一人でこなすファインプレー。
続いては露の五九洛(つゆの・ごくらく)さんの「地獄巡り」。本物のお坊さんらしく、あの世と仏教を絡めて地獄の世界を豊かに描きました。
前半最後は桂小鯛(かつら・こだい)さんの自作の新作落語「へき」。くせの強い男が主人公で、くせがどんどん増えていくので「くせ治し屋」へ行く話で爆笑の渦を巻き起こしました。
中入り(休憩)中、伊藤史隆支配人と喜楽館の山本マネージャーが客席を回って優勝者への賞金=「浄財」を集めて回るお馴染みの光景が繰り広げられました。そして毎年のように出場者を困らせるハエも現れましたが、殺虫剤とラケット型ハエたたきでスタッフが迎撃して事なきを得ました。

後半戦は桂ちきんさんの「HOW TO プレイボーイ」(桂三枝作)でスタート。マクラ代わりに桂朝太郎さんから教わったマジックを披露すると、ウケが良かったのか熱が入り、落語に入るのが大幅に遅れ、持ち時間を大きく超えてタイムオーバーで失格となりました。大会史上2人目のレッドカードを受けたちきんさんでしたが、記憶に残る高座となりました。
このレッドカードは次の桂三語さんに影響を与えたようで、「長短」を披露した三語さんは時間オーバーが気になり過ぎて、逆に短過ぎるという冷や冷やする展開に。
そしてトリの笑福亭松五さんは独特の空気感としゃべりで「松竹梅」を演じ、見事に締めました。
喜楽館AWARDの投票は、観客の皆さんがその日の出場者の中から「2名」を選ぶ方式で、1位に輝いたのは桂小鯛さん、2位は笑福亭松五さんでした。
決勝に進めるのは予選各日の1位と、2位の中で最も得票率の高い1人とあって、2位にも注目が集まるのですが、結果的にこの日が予選4日間の中で2位以下が最も割れた大激戦となりました。

予選2日目
予選2日目、9月2日(水)。
開場前のロビーで、出演者やスタッフみんなで「チラシの挟み込み」を実施。大会前に実務的な作業を一緒に行うのもこの大会ならではで、とても落語界らしい良い光景。ちなみにこの日だけ呂翔さんに代わって太鼓を務める笑福亭笑有(しょうふくてい・しょうゆう)さんは若干緊張気味のご様子でした。
この日の出場者・桂惣兵衛(かつら・そうべえ)さんは漢字一文字の「米」Tシャツを着用し、米朝事務所のプライドを背負ってきたのかと思いきや、新潟の酒蔵のTシャツとのこと。噺家さんの私服も個性やこだわりがあって楽しいです。


この日は、出番順が決まると初日と違って楽屋はピリピリしたムードに包まれました。そして開演して順番が発表されると、桂ぽんぽ娘(かつら・ぽんぽこ)さんの「一番」に客席がざわざわ。
そのぽんぽ娘さんは、ABCラジオで毎週水曜日の深夜に放送中の「鉄瓶・佐ん吉のコロコロラジオ」をモチーフにした妄想噺「ペロペロラジオ」を披露。3番手でネタを披露する鉄瓶さんは袖から見て「こいつアホやな…」と唖然茫然。ぽんぽ娘さんは鉄瓶さん佐ん吉さん、そして2番手の愛染さんの名前も出しながら大暴走。内容はとてもここでは書けませんので、ぜひ「日曜落語~なみはや亭~」でご確認ください(関係各所での確認を経てノーカットでお送りできるそうです)
2番手は林家愛染(はやしや・あいそめ)さん。ぽんぽ娘落語の余韻が残る舞台に上がり、第一声で「普通の落語をさせていただきます」と言うと大きな拍手が起きました。そして端正な「阿弥陀池」を披露。このとき舞台の真裏では、出番を控えたあおばさんがいつになく真剣な表情でネタを繰っていました。

続いては、ぽんぽ娘さんにネタにされた笑福亭鉄瓶(しょうふくてい・てっぺい)さん。マクラでいじることもできたのですが、持ち時間を考え、第一声は「3番、笑福亭鉄瓶」とだけ言ってすぐ古典落語「堪忍袋」へ。仲の悪い夫婦のやりとりで笑いを取り、堪忍袋に愚痴を吐き出すくだりで初めてぽんぽ娘さんに向けて「コンクールでやるネタちゃうやろー!」と絶叫。ようやく触れたことでお客さんもスッキリして爆笑を連発しました。
中入りでは三味線の内海英華さんが客席で浄財集め。「(ラジオ関西の)『ラジ関寄席』から来た内海英華です~!」と練り歩き、募金箱の入口が詰まるほどたくさん集めてさすがの人気ぶりを発揮していました。
後半戦は露の眞(つゆの・まこと)さんの「鹿政談」でスタート。メガネを外して高座へ上がるため、ほとんど見えてない状態で大熱演。
続いては、地元・神戸っ子の桂あおばさんが神戸での思い出を落語にした「キザ男」を披露。若干緊張した様子でしたが、上方落語界屈指のイケメンぶりをキザ男に落とし込み笑いを連発しました。
そしてトリは桂惣兵衛さんの「代書」。独特の訛りとアホさが秀逸で、この日一番かと感じるほどの爆笑の連発でしたが、12分を数十秒オーバーしてしまいイエローカード。失格ではないですが、これが影響したのか1位は鉄瓶さんで惣兵衛さんは惜しくも2位でした。しかし惣兵衛さんは得票率で松五さんを上回り、決勝進出への可能性を残しました。

予選3日目
予選3日目、9月4日(金)。
出番順の抽選時、なぜか桂三四郎(かつら・さんしろう)さん一人だけが着物姿。実は過去の喜楽館AWARDで何度もトップバッターを引き当てているので、どうせまた一番だと思って早めに着替えていたのでした。しかし結果はトリの6番目。「最後は最後で、できるネタの選択肢が減っていくからイヤですわ…」と今年もボヤキが止まらない三四郎さんでした。また抽選時、桂咲之輔(かつら・さきのすけ)さんが箱から引いたピンポン玉を飲み込んで「ゆで卵でした~」という小ネタを披露してややウケ。卵の殻を剝いて仕込んでいるところを三味線の英華さんに見られていたというオチがついて舞台裏が笑いに包まれました。

この日のトップバッターは、デビューシングル「雨上がりのアファルトの匂いはお好きでしょうか?」が一部で話題の森乃石松(もりの・いしまつ)さんの「寝床」でスタート。客席は緊張状態でしたが、マクラでしっかりほぐして、リアルジャイアンリサイタルというべき古典落語で笑わせました。
続いては桂鞠輔さんの「七段目」。初出場とは思えない落ち着きで、ハメモノやツケのある芝居噺で観客を落語の世界に引き込みました。
3番手は笑福亭喬介(しょうふくてい・きょうすけ)さんの「ぜんざい公社」。噺の中で巧みな時事ネタを取り入れたり、いま喬介さんが実際に住んでいるリアルな住所を何回も言うという身を削ったボケで笑いを取りました。
中入り中、内海英華さんが露の紫(つゆの・むらさき)さんと桂鞠輔さんの2ショットを撮って「PTAのお母さんみたい」というやりとりが。緊張感がありつつも、英華さんをはじめ舞台裏のみなさんとのやりとりで楽しく心地良い空気が広がるのも喜楽館AWARDならではです。

後半戦のトップは桂咲之輔さんの「普段の袴」。途中まで調子よく進んでいたのですが、文鎮と鉄扇を間違えるというイージーミス(本人談)が起きて、舞台から降りてきたとたん頭を抱えて倒れ込み「やってもたー!」と小さく叫んでいた姿が印象的でした。
続いては露の紫さんの「厩火事」(うまやかじ)。当然ですが、男性が演じる妻とは一味違うリアルな演じ方が秀逸で、元の噺にさまざまなアレンジが加えられ、唯一無二の紫バージョンに仕上げられていました。
そしてこの日のトリは桂三四郎さんの「崇禅寺馬場」(そうぜんじばば)。泥棒の頭(かしら)とアホな弟分のやりとりが小気味よく、この日一番のウケでした。
結果は三四郎さんが1位、紫さんが2位でしたが、得票率で惣兵衛さんが上回り、ワイルドカードを継続保持することになりました。

予選4日目
そして予選最終日の4日目、9月9日(水)。
この日は開演前からムードメーカーの桂三幸(かつら・さんこう)さんがずっと明るくしゃべり続けたり、桂吉の丞(かつら・きちのじょう)さんが噺家のマイカー事情をおもしろおかしく暴露しまくったり、月亭天使さんが笑福亭伯枝(しょうふくてい・はくし)さんオリジナルの「894Tシャツ」を着こなすなど、終始なごやかな雰囲気。


笛は絶対音感の持ち主(染八さん談)という桂米輝(かつら・よねき)さんが務めます。
トップバッターは桂三幸さんが新作落語「天井高い」を披露。架空の落語家の一門の話で、わかるような、わからんような「落語家あるある」が満載。いつにも増して早口で爆笑を連発しました。
続いては月亭天使さんの自作の擬古典「オネガイ」。妻を亡くした男の前に幽霊となった妻が現れ、再婚相手の女性を脅かすという冬の噺で、女心が燃え盛るバトルで笑いを誘いました。
3番手は桂紋四郎さんの「鹿政談」。この予選では露の眞さんに続いて二度目の噺でしたが、演者が違えば別の味わいになるのが落語。お二人の「鹿政談」の違いは「日曜落語~なみはや亭~」で聞き比べてみてください。
4番手は林家染吉(はやしや・そめきち)さんが「桃太郎」を披露。有名な話で演じられる機会も多いので、多くのお客さんが「あぁ桃太郎か」と思われたはずですが、それを上回る熱演と展開に拍手が起きるほど大爆笑。1年前からこの日のために笑福亭福笑さんに稽古をつけてもらった成果が出たのでした。
中入りを挟んで5番手は笑福亭呂竹(しょうふくてい・ろちく)さんの「京の茶漬け」。第一声の「笑福亭呂竹です。よろちくお願いいたします」から始まり、味わい深い呂竹ワールドが全開でした。
続いては桂吉の丞さん。マクラで「米朝落語の本寸法をします」と言いつつ、披露したのは小説家・中島らもさん原作の「披露宴」というヤクザが出てくる爆笑噺。任侠の世界と吉の丞さんのニンがピッタリで、爆笑に継ぐ爆笑でした。このネタをすることになったきっかけは、吉の丞さんが亡き吉朝師匠の遺品の中に見つけたCD。吉朝師匠が演じるこの噺を聞いて「これはおもしろくなりそう」と思って自分なりに工夫を重ねて仕上げたのでした。
そしてこの日のトリにして予選の大トリを務めたのが笑福亭生寿さん。マクラで「疲れてませんか?」「もう2人決めたから聞かんでええわ~とかやめて下さいね。笑福亭やから、とかも」と笑いを取ってから「くっしゃみ講釈」を披露。講釈師が唐辛子をくらって吐くところで拍手が来るなど、最後の最後まで爆笑させました。
そして、1位が吉の丞さん、2位が染吉さん。この結果、染吉さんと惣兵衛さんのワイルドカード争いとなりましたが、僅差で惣兵衛さんの得票率が上回り、決勝進出を果たしました。

結果は出ましたが、順番や客席の空気などちょっとしたことで大きく変わった可能性は大いにあり、4日間の予選に出場された26人すべての皆さんの熱演に敬意を表します。
そして1位になった桂小鯛さん、笑福亭鉄瓶さん、桂三四郎さん、桂吉の丞さん、ワイルドカード枠の桂惣兵衛さん、この5人が12月6日の決勝に進出。決勝はABCラジオで生中継し、喜楽館の観客の皆さんとラジオをお聴きの皆さんによる投票を合算し、最多得票を獲得した噺家さんが優勝となります。
優勝者には、賞金としてお客様からの「浄財」を全額贈呈、副賞としてマルエス様からの賞品、さらに特典としてABCラジオの特別番組が贈られます。
激戦必至の決勝戦、今年は一体誰がチャンピオンの栄冠に輝くのでしょうか?
会場に足を運んだりラジオに耳を傾けたり、一緒に盛り上がって歴史の証人になりましょう。
文章・写真 構成作家・米井敬人
「マルエスPresents 神戸新開地・喜楽館AWARD2026」の決勝のチケットは、10月17日(土)の午前11時から喜楽館の窓口で、正午からはチケットぴあで発売を開始します。
そして、今年も決勝の模様はABCラジオで完全生中継。
決勝では、喜楽館にお集まりのお客様に加えて、ABCラジオで生中継をお聴きのリスナーの皆様にもオンラインで「審査」に参加をしていただきます。
ぜひ、当日は喜楽館の客席とラジオで、5人のファイナリストの熱演を心ゆくまで堪能してください!
「マルエスPresents 神戸新開地・喜楽館AWARD2026」決勝
主 催:神戸新開地・喜楽館/ABCラジオ
特別協賛:株式会社マルエス
協 賛:神戸信用金庫 和田興産 スミリンケアライフ 丹波篠山 おゝみや 神戸電鉄 櫻正宗
日 時:12月6日(日)午後6時開演/午後9時半終演予定
会 場:神戸新開地・喜楽館(神戸市兵庫区新開地2-4-13)
出 演:笑福亭鉄瓶 桂吉の丞 桂三四郎 桂惣兵衛 桂小鯛 ほか
司 会:伊藤史隆(フリーアナウンサー/神戸新開地・喜楽館 支配人)
料 金:前売り/当日とも5,000円(税込)
10月17日(土)午前11時から喜楽館窓口で発売
正午からチケットぴあで発売
問合せ:神戸新開地・喜楽館 078-335-7088(午前11時~午後5時)
放 送:決勝の模様は、ABCラジオで完全生中継。
ホームページ:https://abcradio.asahi.co.jp/kirakukanaward2026/
企業プレスリリース詳細へ
PRTIMESトップへ