2023年8月1日(火)~8月20日(日)開催
NTT東日本が運営する文化施設NTTインターコミュニケーション・センター※1(以下、ICC)では、2023年8月1日(火)より、「ICC キッズ・プログラム 2023 こんにちは、もうひとりのじぶん」を開催します。
「ICC キッズ・プログラム」は、同時代のメディア環境に触発されたメディア・アート※2に触れることで子どもたちの好奇心と想像力を育むことを目的に、2006年より毎年夏休みに開催してきました。※3
今年度のICC キッズ・プログラムは、テクノロジーを媒介にして自分について考え、自分や、自分をとりまく世界を再発見することをテーマとします。
※1 日本の電話事業100周年記念事業として1991年からのプレ活動を経て、1997年にNTTが設立した科学技術と文化芸術の融合をテーマとする文化施設。
※2コンピュータをはじめとするさまざまな先端メディア・テクノロジーを使用したアート作品を総称する言葉。
※3新型コロナウイルス感染症拡大に伴う臨時休館のため、2020年度は開催なし。
1.「ICC キッズ・プログラム 2023 こんにちは、もうひとりのじぶん」開催概要
英展覧会名 :ICC Kids Program 2023: Hi, Nice to Meet Me!
開催期間 :2023年8月1日(火)~8月20日(日)
会場 :NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA
開館時間 :午前11時~午後6時
入場料 :無料
*予約方法の詳細は、後日ICCウェブサイトにてお知らせします
休館日※4 :8月6日(日)、7日(月)、14日(月)
※4 休館日以外においても、開館時間の変更および臨時休館の可能性がございます。
最新情報はICCウェブサイト(https://www.ntticc.or.jp/)などでお知らせします。
主催 :NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] (東日本電信電話株式会社)
後援 :渋谷区、新宿区教育委員会、中野区教育委員会、文京区教育委員会
2.展覧会概要
現在では、私たちは多くのものを、テクノロジーを通して見ています。SNSやメタヴァースにおけるアヴァターによる自己の変容は、もうひとりの〈じぶん〉としての自身のアイデンティティの拡張と捉えることができるでしょう。
そのようなテクノロジー環境の中で、私たちは自分自身をどのように見ているのでしょうか。テクノロジーをどのように使うのか、どのようにかかわるのか、また、私たちのものの見方の変化によっても、いままでとは異なる角度や精度から私たちを知るきっかけになるとも言えるでしょう。そこでは、〈じぶん〉がどのように捉え直されるのでしょうか。
まだ見ぬ自分へ出会うには、鏡で姿を映し出すことにはじまり、さまざまな方法があります。テクノロジーとデジタル・メディアの進化は、私たちをさまざまに拡張してきました。「ICC キッズ・プログラム 2023 こんにちは、もうひとりのじぶん」では、テクノロジーを通して見えてくる、さまざまな〈じぶん〉のあり方と出会ってみたいと思います。
インタラクティブな作品や体験型、参加型の作品の展示、また、会期中にはアーティストやスタッフによるワークショップなどを実施して、楽しみながら理解を深めることができる環境を作ります。
3.出品作家(五十音順)
うしお鶏(けい)
大原(おおはら)崇嘉(たかよし)
菅(かん)実花(みか)
木原(きはら)共(とも)
黒田(くろだ)大(だい)スケ
古山(こやま)寧々(ねね)
佐久間(さくま)海土(かいと)
村本(むらもと)剛毅(ごうき)
共同キュレーション:久納鏡子、畠中実
キュレトリアル・チーム:指吸保子、鹿島田知也
展示ディレクション:久納鏡子
*作品例については【参考】をご参照ください。
4.関連イベント
子どもたちの「もっとよく知りたい」に応えるためのワークショップなど各種イベントを実施予定です。
ギャラリーツアー
開催日時:2023年8月5日(土)午後2時-3時
定員:20名(当日先着順、ICCでは午後1時30分より受付を開始します。)
対象:小学生以上
共催:新宿区立角筈図書館
最新情報はICCウェブサイト(https://www.ntticc.or.jp)などでお知らせします。
5.現在開催中の展示
ICC アニュアル 2023 ものごとのかたち
会期:2023年6月24日(土)—2024年1月14日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーB 、ハイパーICC
(https://hyper.ntticc.or.jp/)
入場料:一般 500円(400円)、大学生 400円(300円)、高校生以下/65歳以上は無料
*( )内は15名様以上の団体料金
出品作家:伊阪柊、evala、菅野歩美、小光、津田道子、東京大学 舘知宏研究室 × 野老朝雄 × [ ]、
時里充、Natura Machina(筧康明+ミカエル・マンション+クアンジュ・ウ)、リサーチ・コンプレックス NTT R&D@ICC、ヒラヤマナツホ(エマージェンシーズ!044出品作家)※5、武田萌花(エマージェンシーズ!045出品作家)※6
※5 展示期間:2023年6月24日(土)—9月18日(月・祝)
※6 展示期間:2023年10月21日(土)—2024年1月14日(日)
「Digital×北斎【急章】その1」展「生きるが如く描く」
会期 :2023年4月29日(土)—2023年10月1日(日)
会場 :NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーE
入場料:一般、大学生 1,000円(800円)、高校生以下/65歳以上は無料
*( )内は15名様以上の団体料金
6.ICCのご案内
所在地: 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
(京王新線 初台駅東口から徒歩2分)
【参考】出品作家と作品例
うしお鶏(けい)
《そこにいるもの》2023年
自分で撮影した風景の写真の上に、その場所に生息しているかもしれない生き物のようなものを描いています。
生き物のようなもの達は、カタツムリくらいのサイズから見上げる大きさまであり、その形もさまざまです。それらは街の風景の中に静かに溶け込んで、私たちが気づかなかっただけで元々そこに棲んでいたかのように見えます。
大昔から、妖怪や、お化け、魔物など不思議な生き物を人は描いてきました。これらは大きな自然や災害など、人間の理解を超える物事の説明する方法にもなってきました。いつもの風景の中で、自分だけが知っていることを生き物にしてみたら、それはどんな形のどんな生き物になるでしょうか?
大原(おおはら)崇嘉(たかよし)
《Gazes(ゲイザズ)》2023年
本作では、ボリュメトリックキャプチャという技術による、アーティスト本人の等身大の3Dモデルが使用されます。この3Dモデルは5台のディスプレイを使って映し出され、さまざまな方向に視線を向けています。
5つの映像の遠近感は、3Dモデルの視線の向きによって常に変化し、その視線が作品を見る人の視点に向けられる時、つまり「目が合う」時にだけ、ひとつの統合した仮想空間が知覚できる仕組みになっています。
この時、私たちは自分が作品を「見ている」のでしょうか、それとも作品に「見られている」のでしょうか。
「見ること」と「見られている」ことの間に、もしかすると今まで気づかなかった新しい自分の視点が見つかるかもしれません。
菅(かん)実花(みか)
《非(ひ)反転(はんてん)劇場鏡(げきじょうきょう)》2022年
《非反転劇場鏡》は、題名のとおり、通常は自分の姿が左右反転して映るはずの鏡に、さらにそれを反転させることで正像を映し出す鏡です。普通の鏡に映るイメージは、実際に自分が人から見られているイメージと異なり左右が反転しています。したがって、私たちは多くの場合、左右反転した自分の顔のほうに親しんでいることになります。そのため、この鏡を見ると、自分の顔がいつもとちがうように見え、鏡の向こうからもうひとりの自分が現れたかのような錯覚を起こさせるかもしれません。菅は、自分そっくりの人形と一緒に写真の被写体となる作品を制作しています。本物と人形の菅が、どちらがどちらか区別がつかない、けれども何かちがうように感じように、鏡に映る体験者は、自分が自分のようで少しちがうように感じるかもしれません。
木原(きはら)共(とも)
《Future Collider(フューチャー・コライダー)》2021年
架空の看板や標識を、ARの技術を使ってさまざまな場所に設置します。
新しい看板や標識によって街の風景はどのように変わっているでしょうか。
誰も体験したことのない未来について想像するのは簡単なことではありません。人と人の間に距離を置こう、といったソーシャル・ディスタンスを促す標識は、新型コロナウイルスの流行以前には想像できなかったものです。
看板や標識は、その時代の社会のルールや売り買いしたいもの、流行などを表してきました。未来では、どんなことがみんなのルールになっているでしょうか? どんなものが流行っているでしょう? そして今まで見たことのない看板や標識に囲まれて、私たち自身はどのような日常を送っているでしょうか?
黒田(くろだ)大(だい)スケ
新作
黒田は、自分が興味を持っている出来事を調べて、その出来事に関係する人を自ら演じる映像作品を作っています。その際に、顔や体に動物の絵を描いて、それらの動物がしゃべっている様に見せる工夫をすることで、アヴァター(分身)化し、感情を表現しやすくしています。もともと彫刻を学んだ黒田は、ある時、作ることに疑問を持つようになり、彫刻のことが分からなくなりました。それ以来、彫刻とは何かについて調べることを通じて、彫刻をもっと理解したいという思いから、実在した彫刻家を動物の姿で演じる映像を作るようになりました。黒田にとって、誰かを演じることは深くその人について考えることでもあり、その人の気持ちを理解するひとつの方法なのです。
古山(こやま)寧々(ねね)
《「☆¿※○♯(なんちゃらかんちゃら)」が私を擬物化(ぎぶつか)すると》2023年
パソコンや椅子、ベッド、ライト、アイスクリームなど、古山の生活空間にあるさまざまなものから自分がどのように見えているのか、という考えから「ものから見た人間(古山)」像を表現する装置を制作しています。
人間がパソコンに関わるとき、指でキーボードを操作します。このときパソコンからは、パソコンと直接関係する指だけが人間として認識され、指としてしか存在していないように見られていると考えられるのではないでしょうか。
古山の作品では、ものたちが人間をものになぞらえて認識しようとする、「擬人化」ならぬ「擬物化」することを想像することで、人間と非人間との立ち位置を入れ替えることを試みています。
佐久間(さくま)海土(かいと)
《Ether(エーテル) – liquid mirror(リキッド・ミラー)》2020年–
この鏡には音が閉じ込められています。
鏡はふつう目に見えるものが映りますが、この鏡は音とともにふるえることで、目に見えないものをその表面に映し出します。
人間が五感を使って周囲の情報を知るときに、視覚から得る情報はその80%以上だともいわれています。しかし見るだけでなく、耳で聞き、味わい、匂いを嗅ぎ、手で触ること、見えなかったり、言葉にしにくい、自分だけの体験によって知っていることもこの世界には沢山あるのではないでしょうか。
音や、気配、といった見えないものが鏡に映し出される時、私たちはより立体的にこの世界と自分自身の姿を感じ取っているのかもしれません。
村本(むらもと)剛毅(ごうき)
《Lived Montage(リブド・モンタージュ) (series(シリーズ))》2020年–
村本は「他人と意識しているものが共有されたときに視覚もまた共有される」という架空の知覚のかたちを妄想しました。そしてそれを実際に体験するために、カメラとディスプレイと聴診器とアンテナを装備した独自のメディアを作りました。そのメディアを装着すると、「偶然その時自分と同じものを意識している全員の視界が自分の心拍のタイミングで映画のように切り替わっていく映像」が、自分の視界になります。これは新しい知覚のかたちでもありますが、いつからか私たちの奥で動いていた知覚のかたちでもあるかもしれません。
久納鏡子
共同キュレーション、展示ディレクション
アーティスト、アルスエレクトロニカ・アンバサダー。
これまで、インタラクティブ・アート分野における作品を手がける一方、公共空間、商業スペースやイベント等での空間演出や展示造形、大学や企業との共同技術開発など幅広く活動している。2017年からはアルス・エレクトロニカ・フューチャーラボの研究プロジェクトにも携わる。
作品はポンピドゥー・センター(フランス)、SIGGRAPH(アメリカ)、文化庁メディア芸術祭など国内外で発表。東京都写真美術館(日本)に所蔵。
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