日曜画家のプライベート作品に光を当てる新しい試み 「個人的な居所としてのアート」シリーズを11月よりスタート

2023年10月26日 木曜日 6:47 PM

第1回展覧会として「風景画家・岩崎恒男『彼方へ』展」を開催

奥鎌倉の古美術ギャラリー、Quadrivium Ostium(クアドリヴィウム・オスティウム)(店舗:神奈川県鎌倉市、代表:黒田 幸代)では、世に埋もれた日曜画家のプライベート作品に光を当てる新しい試みとして「個人的な居所としてのアート(Art as a space for a personal soul)」シリーズを11月より開始いたします。シリーズの第1回展覧会として「風景画家・岩崎恒男『彼方へ』展」を2023年11月30日(木)~12月12日(火)まで開催いたします。



草 原(1990年~2000年代頃)

■「個人的な居所としてのアート(Art as a space for a personal soul)」シリーズ
世の中には商業的な目的ではなく、趣味や個人的な情熱の表現として絵画を描かれる方が多くいらっしゃいます。そのような作品のほとんどは、一般に公開されることもなく世に埋もれています。作者がお亡くなりになれば、美術館に寄贈することもなく、処分されるかご遺族の手元に置かれたままとなっているのが現状です。当ギャラリーではそのような故人の作品の中から芸術的価値が高いと思われる作品を発掘し、世に公開することで新たに光を当てる試みを始めることにいたしました。社会にとっては新たなアーティストの発見の機会となり、ご遺族にとっては故人の想いや作家性の再発見の機会をもたらします。将来は「個人的な居所としてのアート(Art as a space for a personal soul)」シリーズを公募制にし、世に埋もれた優れたアーティストを発掘し、ご遺族をはじめとする今を生きる人々と故人との邂逅を創出していきます。

また、芸術面においては、商業目的や投機目的とは無縁の、そもそも他人に鑑賞されることを想定していない極めて個人的な目的で生み出されたアートを展示することで、作家の情熱と鑑賞者である他者の共感が交わる体験を通して、人間本来に由来する「アートとは何か」をあらためて問いかけます。

■「風景画家・岩崎恒男『彼方へ』展」について
岩崎恒男氏(1939年~2012年)は、会社勤めをしながら、地元である埼玉県東松山の草原や河原、地方の古民家などの風景を対象とした油彩画を描き続けました。多くの風景画に通底しているのは、空と大地の境界点を見据えた構図をとるゆるぎない視線の存在です。例えば、地元東松山の風景画は、草原が茫洋と広がるのではなく、画面の奥ほぼ中央に描かれた山や大木へと自然と視点が向かいます。繊細で静謐な色調も特徴的です。静かに集中し細い筆で描かれた枯草は乾いた光を纏い、観る者を彼方の地平へと誘います。

本人が生涯、個展を開くことを固辞していたため、作品は近親者しか観たことがありませんでしたが、ご遺族のご厚意によりこのたびの展覧会が実現しました。展覧会では、i草原の風景、ii古民家のある風景、iii旅の風景、iv静物画の4部構成で約60作品を展示いたします。

ヨーロッパの風景(2004年頃)
古民家のある風景(1990年~2000年代頃)


■岩崎恒男氏プロフィール




若かりし頃の岩崎恒男氏
1961年(昭和36年)~1963年(昭和38年)頃、20代の写真



1939年埼玉県生まれ。
高校卒業後、1958年に東京電力株式会社に入社。1995年にグループ会社の株式会社東電ホームサービスへ出向、2001年に退職。10代からスケッチ、短歌の創作に勤しみ、油彩画は50歳代から始めていた様子。退職後、頻繁にヨーロッパ旅行へ出掛ける。2012年没。

■ご遺族のコメント(故人の甥・黒田貴彦様)
生前、東松山の伯父宅には年に一度ほど訪ねていました。

手土産は必ず日本酒で、勝手のわからない頃に本醸造を持参したところ、自分は純米しか飲まないと言って口を付けなかったのが鮮明に記憶に残っています。伯父は柔和で物腰柔らかながら、飲酒中は酒だけと食事を取らず、筋の違うことには毅然とした態度であり、自身のルールが明確にありました。

訪問すると伯母の料理とお酒をいただき、食後は縁側に出て一緒に煙草を吸いました。話題は、伯父の愛した音楽とアート、それにまつわるヨーロッパ旅行のことでした。今思えば、彼が最も絵を描いていた60歳代の時期でしたね。自身の創作活動についてはあまり多くを語りませんでしたが、モネの光を探求する姿勢には感銘を受けていました。

改めて作品を見るとモネがしたように同じ風景を複数枚、様々な時刻や季節で描いている一方、光への関心が全面に渡るモネとは異なり、風景そのものへの眼差しを感じます。
 
生前、展覧会など自身の作品を発表する場を持ちませんでした。そのような意欲がないか聞いた際、プロの画家である大伯父に恥ずかしいからと遠慮する素振りを見せましたが、そもそも興味がない様子でした。

伯父にとって絵画創作とは、鑑賞者を必要としない極めて個人的な営みだったように思えます。

■展覧会概要
名  称:風景画家・岩崎恒男「彼方へ」展
展示内容:岩崎恒男氏が生前描いた風景油彩画約60点
     展示品は販売いたします
開催期間:2023年11月30日(木)~12月12日(火)
営業時間:11:00~17:00
休  日:12月6日(水)
予  約:不要
入館料 :無料
会  場:Quadrivium Ostium(クアドリヴィウム・オスティウム)
住  所:〒248-0003神奈川県鎌倉市浄明寺5-4-32
アクセス:鎌倉駅(JR横須賀線、江ノ島電鉄)東口4番バス乗り場より京浜急行バス(鎌倉霊園正門前太刀洗 行/
金沢八景駅 行/ハイランド循環)に乗車、「泉水橋」バス停下車 徒歩5分
URL  :https://quadriviumostium.com/
その他 :トークショー
・タイトル :「伯父の思い出」
・スピーカー:黒田貴彦
・日 時  :12月2日(土)~ 12月 3 日(日)14:00~15:00
        12月9日(土)~ 12月10 日(日)14:00~15:00

■Quadrivium Ostium(クアドリヴィウム・オスティウム)について
Quadrivium Ostiumは鎌倉市にある古美術品のアートギャラリーです。店名はラテン語で「十字路の入り口」を意味し、「様々な時代や場所で作られた物が遥かな道をたどり、ここで受け継がれ次に手渡されていく」との思いが込められています。

「美術館やギャラリーのような空間に住まう」をテーマに設計された自邸の1階スペースを使い、ヨーロッパのアンティーク家具や絵画とともに古美術を展示しています。扱う古美術品は古代キリスト教美術、仏教美術、民藝などで地域も日本、中国、朝鮮半島のアジア地域、ヨーロッパ、アフリカなど幅広く、ジャンルを問わず様々な文明の古美術品を常時30点ほど展示販売しています。

■店舗概要
店  名:Quadrivium Ostium(クアドリヴィウム・オスティウム)
所在地 :〒248-000 神奈川県鎌倉市浄明寺5-4-32
開廊日 :完全予約制、水曜定休ほか不定休、営業時間11:00~17:00
定休日 :水曜日
代表者 :黒田 幸代
開設日 :2021年10月9日
事業内容:古美術品販売、アート作品販売
TEL :080-5430-6641
URL  :https://quadriviumostium.com/

ギャラリー外観

ギャラリー内部


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