企画展「天地耕作(あまつちこうさく)初源への道行き」

2023年12月22日 金曜日 12:18 PM

知られざる野外美術の全貌を紹介する。

天地耕作(あまつちこうさく)は、旧引佐郡(現浜松市)出身の村上誠、渡兄弟と山本裕司の3人によって始められた美術制作プロジェクト。1988年から2003年まで活動し、木や縄、石や土などを素材に、野外で大がかりな作品を制作したが、自身が所有する土地などで発表していたため、実際に鑑賞した人は限られる、知る人ぞ知る存在である。表現の根源を見つめる彼らのユニークな試みは、今また注目が集まっている。本展は、天地耕作の軌跡を、写真作品や豊富な資料で辿る。さらに、未完になっていた2003年の作品プランが、およそ20年を経て静岡県立美術館裏山にて実現される。自分たちの地で独自の作品=耕作を生みだした、天地耕作の活動をぜひご覧いただきたい。



山本裕司《氏神の祠》1988-89年 旧引佐郡引佐町渋川

天地耕作とは


「天地耕作(あまつちこうさく)」は、村上誠と村上渡の兄弟と、山本裕司の3名が1988年から2003年にかけて協働で行った、美術制作のプロジェクト。彼らの作品は、生や死といった根源的なテーマに挑むもので、石や土、木材、流木、縄などを素材に用いた、野外で制作される大がかりなものであった。しかしながら、制作・発表場所は、彼らの私有地や採石場跡地、湖畔などであり、一般的な野外展などに比べるとアクセスや公開期間が限られ、鑑賞者も限られていた。その活動を知る者は多くはない。
 また、1991年からは、造形物に加えてパフォーマンスが伴うようになった。パフォーマーは、彼ら自身のほか、舞踏家など外部からの出演もあった。2003年、静岡文化芸術大学ギャラリーで「天地耕作、まで」展が開催され、同時期に、作品とパフォーマンスの公開を行う一方、非公開の作品制作を彼らの私有地で行った。これが天地耕作としての最後の活動となる。

見どころ


近年、天地耕作は再評価が進みつつあるが、美術館において個展が開催されたことは未だなかった。本展は、美術館では初の個展として開催されるものである。写真や資料、新たに発見された映像などにより、活動の全貌を明らかにするとともに、遠州奥三河の伝統芸能に着想を得たインスタレーションを発表予定。また、2003年の未完となっていた野外作品のプランを、20年を経て美術館の裏山にて実現させる計画があり、本展の見どころの一つとなる。

関連イベントを多数開催


本展会期中には、金沢美術工芸大学講師の山本浩貴氏を講師に招いた特別講演会「天地耕作を開袋/解体(かいたい)する」を2月18日(日)午後2時から、県立美術館の講堂で開催するほか、トークセッション、裏山でのパフォーマンス、未就学児向けワークショップ等を開催する。各イベントの詳細については、静岡県立美術館のウェブサイトを確認いただきたい。

展覧会名
天地耕作 初源への道行き
会  期
2024年2月10日(土) ~ 3月27日(水)
会  場
静岡県立美術館(静岡県静岡市駿河区谷田53-2)
休 館 日
月曜日(ただし、2月12日(月・祝)は開館、2月13日(火)は休館
開館時間
10:00 ~17:30 (展示室への入室は17:00まで)
観 覧 料
一般 1,000 円(800円)、70歳以上500 円(400円)、大学生以下無料
*( )内は前売りおよび20名以上の団体料金
*収蔵品展、ロダン館も併せてご覧いただけます。
*身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方と付添者1名は無料
主  催
静岡県立美術館/静岡新聞社・静岡放送 
助  成
芸術文化振興基金


「パフォーマンス 《身体遊戯》 での山本裕司」 1994年 旧浜北市姥ヶ谷


山本裕司 《墳墓-その八》 1997年 フィンランド・ラハティ


村上誠・渡 《産土-その四》 1994年 旧浜北市姥ヶ谷


村上誠・渡 《産土-その七》 1997-99年 旧引佐郡細江町気賀


村上誠・渡《山田(一)》1988-89年 旧引佐郡細江町気賀


村上誠・渡《産土-その二》1991年 旧引佐郡引佐町谷下

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