エステー株式会社(本社:東京都新宿区、代表執行役社長:鈴木貴子)は、もはや国民病とも言うべき“花粉症”に関して、スギ花粉が飛び始める2月を前に、「香り成分が花粉アレルギー性を低下!凶悪花粉にも効くトドマツパワーの秘密」と題し、2019年1月16日、大手町ファーストカンファレスにてメディア向けのセミナーを開催いたしました。
平成28年度に行われた「花粉症実態調査」によると、都内(島しょ地区を除きます)のスギ花粉症の有病率は48.8%と推定され、約2人に1人が花粉症に悩まされていると言われています。スギの花粉は2月から5月上旬まで飛び、飛散量は3月にピークを迎えます。花粉症は鼻水やくしゃみ、目のかゆみのほか、倦怠感や頭痛などさまざまな症状を引き起こし、日常生活に支障が出ることも少なくありません。一方で、花粉の飛散量が多い森林のなかで働いている林業従事者は、平均的に花粉症の有症者の割合が少なく、その理由として、山間部と都市部で飛んでいる花粉に違いがあることが明らかとなっています。
セミナーでは、花粉研究の第一人者である国立大学法人埼玉大学大学院・理工学研究科の王青躍(おう・せいよう)教授から、都市部に多い凶悪化した花粉についての解説後、その脅威を取り除くための3つのアプローチとして、新しく発見したトドマツの効果が紹介されました。また、エステーグループ会社の日本かおり研究所株式会社代表取締役社長の金子俊彦から、クリアフォレスト事業として研究を進めている北海道のトドマツの抽出成分について、樹木の香りで空気の質を改善する働きやヘルスケアでの取り組みについての説明をしました。さらに、クリアフォレスト担当事業部長の奥平壮臨からは、2018年12月12日に発売した、北海道のトドマツから抽出した香り成分配合の薬剤をマスクの外側に塗るだけで、マスク周りに浮遊する花粉のアレル物質の働きを低減する新製品『MoriLabo 花粉バリアスティック』について紹介しました。
<セミナー講演内容(要旨)>
◆「凶悪化する花粉症の原因物質による花粉症への脅威」
(王 青躍(おう・せいよう)先生:国立大学法人埼玉大学大学院・理工学研究科 教授)
~“花粉の凶悪化”とは?~
大気汚染物質と花粉が結びつくことで花粉は爆発を起こし、小さくなることで体内に取り込まれやすくなります。元々のスギ花粉のサイズであれば鼻やのどを通り抜けて体内に入ってくることはありません。また、PM2.5に含まれる潮解性の硝酸塩などが花粉に付着して花粉を爆発させ、さらに二酸化窒素などの大気汚染物質は花粉アレルゲンの化学変化も引き起こし、より強い花粉のアレルギー性を増してしまいます。つまり、花粉症(くしゃみや鼻水などの症状)を引き起こす凶悪化した花粉となります。
1. 大気汚染物質と花粉が結びつくと花粉は爆発を起こし、粉々になってしまうことで、アレルゲンの飛散量が増える。
2. 花粉の爆発により、小さな花粉が増え、体内に取り込まれやすくなる。
3. 大気汚染物質により、花粉のアレルギー性がさらに増す。
~凶悪化した花粉には森の力!空気の浄化に最も効果を発揮したトドマツの力~
凶悪化した花粉の脅威を取り除く方法を研究している中で出会ったのが、「トドマツの力」です。大気汚染物質である二酸化窒素を、さまざまな樹木の精油ガスと混合した後、どれだけ二酸化窒素が残るかを測定したところ、最も除去能力が高かったのはトドマツの葉から抽出した精油でした。研究結果より、トドマツの香り成分は凶悪化した花粉に3つのアプローチで脅威を取り除いていることが分かりました。
1. 空気中に浮遊するスギ花粉のアレルゲンにトドマツの香り成分が取り付き、アレルゲンの表面をコーティングすることで、花粉のアレルギー性を抑制する。
2. トドマツの香り成分を花粉アレルゲンに曝露すると、花粉アレルゲンの毒性を低減することが確認されている。
3. 大気汚染物質でよりアレルギー性の高い凶悪化した花粉のアレルギー性をも低減。凶悪化した花粉にも効く。
◆「新たに科学的に解明された花粉アレルギー性を低下するトドマツの香り成分の力(森の力)」
(金子 俊彦:エステーグループ会社日本かおり研究所株式会社 代表取締役 社長)
トドマツから抽出した空気浄化作用に優れる香り成分を活用する「クリアフォレスト事業」の展開は2011年から進められてきました。事業化のきっかけは、研究を通じて、日本各地に分布する森林樹木各部位の空気浄化能力を測定し、北海道のトドマツ精油が最も二酸化窒素の除去能力が高いことを発見したことにあります。さらに研究を進めた結果、浄化成分は二酸化窒素を凝集することで無力化していることも分かりました。
また、今回埼玉大学の王教授との共同研究により、トドマツの香り成分が花粉に作用し、抗原抗体反応の起こりやすさを約10%に低下させる効果が明らかになりました。
これらの結果からも、森の力をヘルスケアに活かす科学的な取り組みとして、「クリアフォレスト事業」は、今後大きな可能性を秘めていると考えています。
◆「クリアフォレスト事業及び「MoriLabo 花粉バリアスティック」について」
(奥平 壮臨:エステー株式会社 事業統括部門ビジネス開発事業部 クリアフォレスト担当事業部長)
北海道のトドマツから抽出した香り成分配合の薬剤をマスクの外側に塗るだけで、マスク周りに浮遊する花粉のアレル物質の働きを低減する『MoriLabo 花粉バリアスティック』を2018年12月12日に発売しました。
『MoriLabo 花粉バリアスティック』は、マスクと一緒に使うことで効果を最大限に発揮することができます。マスクだけでは全ての花粉の侵入を防ぎきれず、マスク使用者は現状に満足していません。商品の最大の特長として「トドマツの香り成分が花粉自体に作用する」ことでマスク周りに浮遊する花粉にしっかりと対応でき、花粉対策の新しいアプローチとなることを期待しています。
<登壇者プロフィール>
王 青躍(おう・せいよう) 国立大学法人埼玉大学大学院 理工学研究科 教授
環境化学や有機資源化学を応用する研究に重点におき、エネルギー資源・素材と地球環境化学の両分野への研究を通じて、地域や国際社会へ貢献できる実用化研究を積極的に実施している。特に環境化学を基礎とする教育をはじめ、自然との共生を考慮した環境調和型の資源利用・環境負荷低減技術(有機性廃棄物処理、循環性バイオマス、低品位石炭のガス燃料化技術など)および環境有害化学物質の計測技術(PM2.5中の発がん性物質、花粉症原因物質、世界初のドローンによる環境計測技術など)の研究開発に関して、研究・教育を一貫して行っている。さらに、地球的・人類的スケールの視野からの社会的ニーズに応える人材育成を目指している。
所属学会・協会:日本大気環境学会、日本花粉学会、日本エネルギー学会、日本エアロゾル学会、日本廃棄物資源循環学会、中国大気環境学会
金子 俊彦(かねこ・としひこ) 日本かおり研究所株式会社 代表取締役社長
エステー化学株式会社(現エステー株式会社)R&D部門商品開発マネージャーを経て、
2004年より日本かおり研究所株式会社代表取締役社長就任(兼務)。
2005年 同社商品開発フェロー就任
2005年 独立行政法人 科学技術振興機構 シーズ発掘 試験査読評価委員就任
2010年 独立行政法人 科学技術振興機構 研究成果 最適展開支援事業(A-STEP)専門委員就任
日本かおり研究所は、エステー株式会社のグループ会社として、独立したネットワーク型研究開発企業として
2004年1月19日に設立。人の「心と体」に良い空気にするために、国内外の研究機関と連携して「かおり」を広く研究。
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