日下部民藝館令和 5 年度特別展 落合陽一「ヌル即是計算機自然:符号化された永遠, オブジェクト指向本願」開催のお知らせ

2023年8月1日 火曜日 1:47 PM

「日本の美と心」をテーマに全国で開催される「日本博 2.0」参画事業。関連行事も多彩に、8月1日より販売開始

公益財団法人日下部民芸館(岐阜県高山市)は令和 5 年度特別展「落合陽一 ヌル即是計算機自然:符号化された永 遠, オブジェクト指向本願」展を令和 5 年 9 月 17 日(日)より 11 月 5 日(日)まで岐阜県高山市 国指定重要文 化財 日下部民藝館にて開催いたします。


重要文化財日下部家住宅は、昭和 41 年より日下部民藝館として建物の公開と日下部家所蔵の文物を展示、また
建物を活かした多様な文化事業を行っています。柳宗悦が提唱した「民藝運動」の思想に共感した初代館長、
日下部禮一の思いを受け継いで、日本人の自然への共鳴する心、各地の風土から生まれる人々の生活の美を見
いだした「民藝」が示すものの見方、考え方、共に生き、自由である暮らしの規範を日々の活動を通して具現
化することを目指しています。

令和 3 年から始まった、ヒューマンコンピュータインタラクション研究の第一人者であり、メディアアーティ
ストの落合陽一と日下部民藝館のコラボレーションは、飛騨の地で育まれてきた歴史や自然、伝承された数多
く物語を考察することによって浮かび上がった優れたモチーフを、落合が探求している「デジタルネイチャー」
の思想と掛け合せ、重要文化財日下部家住宅の空間全体を用いてインスタレーション表現をする、他に類をみ
ない独自のアートプロジェクトです。令和 4 年度の「遍在する身体 交錯する時空間」展に続き 令和 5 年度
に開催する本展は、プログラミングの設計における「オブジェクト指向」の考え方と、現代思想の新たな哲学
理論で用いられる「オブジェクト指向存在論」を中心に据え、今まさに日進月歩で進化する AI 技術がもたらす
人類の新たな転換点、「デジタルネイチャー」の世界に対する落合の芸術的計算機科学的哲学的探求を追体験
する展覧会です。オブジェクト指向プログラミング、オブジェクト指向オントロジー(存在論)、真言、般若心経、
民藝など、さまざまな思考法、概念、哲学のレンズを通して描き、物質(タンジブルなオブジェクト)と非物
質(イメージやリアリティ)世界が相互に変幻する自然(落合がたどり着いた時空を超えた普遍的世界観)を
メディアアートを用いて顕現させる試みとなります。
新作イメージ:オブジェクト指向菩薩

展覧会の見どころ
デジタル表現と伝統技巧を用いて、哲学的概念と現代のテクノロジーが混ざり合う世界に来場者を誘います。
・国指定重要文化財の日下部家住宅を巨大な曼荼羅に見立てる
日下部家住宅を巨大な立体曼荼羅に見立て、伝統的な職人技と現代のテクノロジーを融合させたデジタルファ
ブリケーションによる木彫や、身体性を有したオルタナティヴ・プロセスであるプラチナプリントで映しとっ
た裸の身体、無限の空間を表現するインフィニティーミラーの立体と LLMs(大規模言語モデル)を用いた対話型
インスタレーションを複雑に交わらせ、空間に浮遊する真言密教的モチーフと過去の肉声を組み合わせたイン
スタレーションによってオブジェクト指向という点でデジタルネイチャーと共通する真言的曼荼羅世界の森羅
万象を表します。作家はこの展示空間に身を委ねることによって、万物との繋がり、テクノロジー、アート、
自然が融合しあう融通無碍な美的開放を人々に再認識してもらいたいと願っています。
・計算機自然において無限的可能世界を司る「オブジェクト指向菩薩」
落合陽一が本展のために新たに手掛けた「オブジェクト指向菩薩」。「オブジェクト指向菩薩」は、曼荼羅に
おける大日如来と対をなし、自然と生命の全体を理解する新たな視点を与えます。デジタルと自然が交錯する
デジタルネイチャーの世界が帰納する、物質と非物質、生命と非生命、機械と非機械の境界を問い直し、新し
い視点から自然と人間との関係性を理解し、新たな自然観を形成するための道を示す菩薩です。個々の存在が
独立した単体ではなく他の存在との関係性の中で意味を持つという視点を提供する「オブジェクト指向」。
「オブジェクト指向菩薩」はこの視点をさらに超越して、その関係性にとどまらず、それらが形成するダイナ
ミックな自然のシステム全体を示します。「null(空)」という、流動的であり無限であるという存在の本質と
そこから生まれる可能性。すべての存在とその相互作用を含む概念としての「自然」。可能性が生まれる場所
nullとその可能性が育ち、新たな生命が生まれるフィールドである自然。両者のダイナミックで相互依存的なプ
ロセスを司るのが「オブジェクト指向菩薩」といえるでしょう。

参考イメージ

参考イメージ 金剛界曼荼羅

日下部家住宅1F平面図















作品イメージ:null 無限の空間

イメージ:オブジェクト指向菩薩 物質と非物質が結びつく計算機自然を創り出す




イメージ:自然木のスキャンデータを基に、デジタル上で十二支(十三支)の見立て会をする様子
・職人の手仕事や企業の最新技術を用い、多彩なメンバーが共創して作り上げる新作
落合陽一の創造的世界を具現化するために集まった、民藝思想家、民俗学者、テクノロジーを提供する企業チ
ーム(カリモク家具、セイビ堂)や林業従事者(井上工務店)、職人(飛騨の家具職人 CHAIRMAKER
TAKAYAMA JAPAN や大工)など、思想、革新的なテクノロジー、自然、手仕事の多様な領域で活躍する表現
者との共創(相互接続)によって実現する試みです。
実験的な制作方法として、乾燥した自然木から十二支や鵺など制作したい作品の形状をメンバーで見立てを行
い、3D スキャンデータ上でデザインをし、CNC で削り出す予定です。十二支(十三支)は、日下部家が多額の制
作費を投じたと言われる、ユネスコの無形文化遺産である秋の高山祭の「豊明台」に施された見事な十二支の
彫刻から作家がインスピレーションを受けました。

日下部民藝館外観
また、本展は「日本の美と心」をテーマに全国で開催される「日本博 2.0」にも参画しています。
日本の伝統的民家の最高峰と位置付けられる日下部家住宅を舞台に、飛騨の歴史や文化、伝承にも向けられた落合陽一の過去を巨視し未来を見定める融通無碍な視座によって照らされた、日本固有の文化の価値を際立たせ、世界に向けて日本独自の美と心の深さを発信します。本展を通して日本を代表する現代アーティスト、落合陽一氏が、1年以上かけて構想し、飛騨の文化財を舞台に繰り広げる、メディアアートを存分にお楽しみいただければ幸いです。

【落合陽一 プロフィール】
photo by 蜷川実花
メディアアーティスト. 1987 年生まれ. 東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。2010 年ごろより作家活動を始める。境界領域における物化や変換、質量への憧憬をモチーフに作品を展開。筑波大学図書館情報メディア准教授、デジタルハリウッド大学特任教授。デジタルネイチャー開発研究センターセンター長、2025 年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサー。近年の展示として「おさなごころを、きみに(東京都現代美術館, 2020)」、「北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs (北九州, 2021)」、「Ars Electronica(オーストリア,2021)」、「Study:大阪関西国際芸術祭(大阪, 2022)」、「遍在する身体,交錯する時空間(日下部民藝館,2022)」など多数。また「落合陽一×日本フィルプロジェクト」の演出など、さまざまな分野とのコラボレーションも手かげる。

【開催概要】
展覧会名称: 日下部民藝館令和 5 年度特別展
落合陽一「ヌル即是計算機自然:符号化された永遠, オブジェクト指向本願」
会場: 日下部民藝館 (岐阜県高山市大新町1-52)
会期: 2023 年9月17日(日)―11 月5日(日) 午前 10 時~午後 4 時
休館日: 毎週火曜
観覧料: 一般 1500 円 高大生 1000 円 小中学生 500 円(未就学児無料)
30 名様以上の団体割引 一般 1200 円、高大生 800 円 小中学生 400 円
主催: 公益財団法人日下部民芸館
*令和 5 年度日本博 2.0(補助型)(独立行政法人日本芸術文化振興会/文化庁)

助成:高山市文化芸術活動支援事業(この事業は、高山市の支援(高山市文化芸術活動支援事業補助金)を受けて実施しています)
協賛:カリモク家具株式会社
機材提供/技術協力:株式会社セイビ堂
木材提供 : 株式会社井上工務店
協力:仲田順英(総本山醍醐寺・執行 真言宗醍醐派総務部長)
企画協力 : 朝倉圭一、CHAIRMAKER TAKAYAMA JAPAN 他

【展覧会関連プログラム】
・内覧会 落合陽一氏によるギャラリートーク
日時:9 月 16 日(土)午後4時~
会期前日にはご招待客を中心に内覧会を開催。落合陽一氏によるギャラリートークも行われます。
午後 4 時~5 時(招待客とプレス対象)
午後 5 時~6 時(招待客、プレス、+一般)
プレス:内覧会ご参加は事前にお申込みいただければ幸いです。
一般:参加費 3000 円 事前申し込み 販売数 50席

・Koichi Omae Performance in Takayama with Yoichi Ochiai
大前光市 in 高山 2023―相互接続された世界―
日時:2023 年 10 月 8 日(日)午後7時~
会場:日下部民藝館
入場料:7000 円 事前申し込み 販売数 90 席
2016 年のリオデジャネイロパラリンピックの閉会式で圧巻のソロパフォーマンスで観客を魅了し、東京パラリ
ンピック 2020 の開会式にも登場した岐阜県下呂市出身の「義足のダンサー」大前光市のダンスパフォーマン
ス。日下部民藝館では 2019 年以来 2 回目となる本公演は落合陽一の展示空間を舞台に踊ります。落合陽一が
AI を使ってリミックスする音楽とのコラボレーションというまさにデジタルと大前光市の身体とが相互接続す
るスーパーコンヴィヴィアルな共演です。
・Koichi Omae Performance in Takayama with Yoichi Ochiai オンライン配信
大前光市と落合陽一が共演するまたとない舞台を世界の多くの方にご覧いただきたく、公演後 YouTube で有
料配信いたします。
配信日 (11 月初旬予定)
配信料 3000 円 販売数無制限

・日本フィルハーモニー交響楽団サテライト公演
落合陽一×日本フィルプロジェクト 《帰納する音楽会》サテライト公演 in TAKAYAMA
Yoichi Ochiai × JPO Project Satellite Performance in TAKAYAMA
日時:2023 年 11 月 5 日(日)午後7時~
会場:日下部民藝館
入場料:4000 円 事前申し込み 販売数 100 席
出演:落合陽一、新垣俊道・大城貴幸(歌三線)、日本フィル弦楽四重奏団(田野倉雅秋、末廣紗弓、小中澤基道、門脇大樹)
落合陽一と日本フィルハーモニー交響楽団のコラボレーションプロジェクト。7 回目の本年は「帰納する音楽会」と題して8 月 23 日東京オペラシティコンサートホールで開催されます。ここで初演される藤倉大作曲「Open Leaves」は、日本各地の伝統的な音楽文化を新たな視点で紹介する「承前啓後継往開来」企画の第1弾として生まれる作品です。今回、プロジェクトの新たな試みとして、この新作を含む室内楽でのサテライト公演を、落合陽一の個展の会場となる日下部民藝館で開催。本展と、落合陽一演出の音楽会の”共演”が実現しました。どちらも 300 年の歴史を持つ琉球・西洋の「古典音楽」の出会いを、落合陽一をホストに特別な会場で味わえる機会です。


チケット入手方法(展覧会、関連事業前売り)
オンライン販売 https://kusakabe-mingeikan.rezio.shop/ja-JP
オンライン販売は 2023 年 8 月 1 日から
電話でのご予約、または当日のご購入も可能です。
電話:0577-32-0072

参考:落合陽一「遍在する身体 交錯する時空間」展, 2022の展示風景





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