
尾形光琳(当館蔵)と、渡辺始興(クリーブランド美術館蔵)の「燕子花図」が競演
【展示室1-2,5】「光琳派 -国宝『燕子花図』と尾形光琳のフォロワーたち-」
日本の絵画史上にそのデザイン性の高い画風で大きな足跡を残す「琳派」は、俵屋宗達(生没年不詳)から尾形光琳(1658~1716)、さらに酒井抱一(1761~1829)へと、時代の異なる画家の先人に対する憧れによって画風が継承され、形づくられたと説明されます。しかし琳派の美術は、この3人だけで生み出されたわけではありません。国宝「燕子花図屏風」の作者である尾形光琳には、直接あるいは間接に連なるフォロワーたちがいました。中でも高い画技で師の制作をサポートした渡辺始興、兄・光琳との協働でデザイン性に富む作品を作り出した陶芸家の乾山は著名です。しかし同じく光琳の弟子である深江芦舟、あるいは乾山に学び「光琳三世」ともみなされた立林何帠になると、その作品に触れる機会は極めて稀です。
本展では、アメリカ・クリーブランド美術館からの里帰り作品もふくめ、絵画とやきもの約60件(一部展示替えあり)で、知られざる「光琳派」の全貌を展観し、琳派の歴史に新しい光を当てます。

国宝 燕子花図屏風 尾形光琳筆 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
画家としてのスタートが遅かった光琳が、40代半ばになって最初に到達した芸術的頂点。高品質の群青を多用した豊麗な画趣は、富裕な注文主から依頼された作品であることを示唆する。
1.渡辺始興(1683~1755) 光琳派のキーパーソン
狩野派の画技を身につけた後、乾山焼の絵付けに携わるとともに光琳に師事、その制作を助けるまでになる。一方、本草学に通じた公家の近衛家煕(このえ いえひろ)に仕えて動植物の写生に秀で、次世代の円山応挙に影響を与えた。

燕子花図屏風 渡辺始興筆 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 18世紀 クリーブランド美術館蔵
総金地に燕子花のみを描く発想は明らかに光琳画に基づくが、個々の花の構造を明瞭に描き出そうとする点に、近衛家煕に仕えて写生に長じた始興の個性が表れている。
2.深江芦舟(1699~1757) 光琳のもう一人の弟子は、宗達に回帰。
京都銀座の年寄筆頭役であった深江庄左衛門の長男に生まれるが、正徳4年(1714)の銀座手入れに
より父は流罪、自身も処罰。幼くして光琳に絵を学び、さらに宗達やその後継者たちの作風を慕った。

蔦の細道図屏風 深江芦舟筆 6曲1隻 紙本金地着色 日本・江戸時代 18世紀 クリーブランド美術館蔵
『伊勢物語』第9段、東国へ下る男が、途中の宇津の山で旧知の修行僧に出会う場面を描く。山の色面で金地画面を構成する手法は、光琳を介し、俵屋宗達に遡る。
3.立林何帠(生没年不詳) 江戸で乾山に学んだ謎多き画家
もとは加賀前田家の医官と伝える(相模鎌倉の人という説もある)。江戸で乾山について学び、また光琳晩年の号である「方祝」の印を用いて、「光琳三世」とみなされた。江戸琳派の形成にも一定の役割を担った。

天神図 立林何帠筆 1幅 紙本着色 日本・江戸時代 18世紀 永青文庫蔵
めでたい松を戴き、ゆかりの梅を背にする天神像。総じて意匠化された琳派風の表現によりながら、画面を充填する大らかな造形が魅力である。自賛の書は、師事した乾山風である。
4.尾形乾山(1663~1743)光琳の弟は陶芸家。晩年は書画に没頭
兄の光琳と同じく京都の高級呉服商・雁金屋に生まれる。元禄12年(1699)、京都の乾(北西)の山に窯を築き、進取の気性に富むやきものを数多く世に送り出す。晩年は江戸に下り、書画の制作に勤しんだ。

銹絵山水図八角皿 尾形乾山作 1枚 日本・江戸時代 18世紀 個人蔵
渡辺始興の乾山焼への関与が確実視されるようになったのは近年のこと。銹絵によって水墨画に見紛う本格的な山水が描かれた本作は、始興絵付けの可能性がひときわ高い。
※会期中、前期[4 月11 日(土)~ 26 日(日)]と後期[4 月28 日(火)~ 5 月10 日(日)]で一部作品の展示替えがございます。詳しくは当館ホームページの出品目録でご確認ください。
料金改定のお知らせ
本特別展より、学生料金を値下げし、さらに学生料金適用の対象を従来の「高校生以上」から「大学生以上」に変更し、無料入館対象を拡大いたします。(一般料金はすでにご案内済みの情報から変更ありません。)オンライン日時指定予約制 一般 1800円 学生 800円
※障害者手帳提示者及び同伴者1名は200円引き料金。高校生以下は無料。
※学生料金の適用ならびに高校生以下の無料入館の際は、学生証の提示が必要です。
・当日券(一般2000 円、学生1000 円)も販売しておりますが、予約の方を優先してご案内しますので、お待ちになることがあります。ご了承ください。
この施策を通じ、当館をより幅広い世代の皆様にお楽しみいただけますことを願っております。これからも魅力的な展覧会で、東洋古美術の魅力を発信してまいります。
関連催事
いずれの催事も、当館ホームページ<「イベント情報」>の各申込フォームから参加をお申込みください。受付開始は2026年3月31日(火)午後1時です。1.講演会「光琳の風にのって」

※参加は無料ですが、美術館入館料が必要です。
2.スライドレクチャー 「光琳派 -国宝『燕子花図』と尾形光琳のフォロワーたち-」

※担当学芸員がスライドを使って展示解説を行います。各レクチャーは同内容です。
※参加は無料ですが、美術館入館料が必要です。
同時開催展展示室6 「初夏の茶の湯」
立夏(5 月5日)を迎えると、暦のうえでは夏。さわやかな気候に即して、茶席では道具を夏向きのものへと改め、亭主・客の気分を一新します。
古染付葡萄棚水指 景徳鎮窯 1口 中国・明時代 17 世 紀根津美術館蔵
中国・江西省景徳鎮の民窯で、天啓年間(1621~27)を中心に、日本向けに生産された古染付。八角の胴部に葡萄と棚が描かれた本作は定番品である。
夜間開館 5月5日(火・祝)~10日(日)・庭園内のカキツバタ

夜の美術館
5月5日(火・祝)から5月10日(日)は午後7時まで開館いたします。展覧会をゆっくりお楽しみください。
(入館は閉館30 分前まで。)

庭園内のカキツバタ
毎年4月中旬から開花し始める庭園内の池のカキツバタ。展覧会会期後半までお楽しみいただけます。
(庭園入場には美術館入館料が必要です。商用撮影はお断りしております。)
開催概要

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