
写真:ゴルフ倶楽部ゴールドウイン
公益財団法人日本自然保護協会(理事長:土屋俊幸。以下、NACS-J)と株式会社ゴールドウイン(代表取締役社長 CEO:渡辺 貴生)が連携して保全と再生の取組みを進めている「興法寺の湿地およびゴルフ倶楽部ゴールドウイン」(富山県小矢部市)が、国の「自然共生サイト」に認定されました。
総面積99haのうち63.1haが認定され、希少種を含む314種の動植物が確認されています(調査:2024年6月から2025年1月)。なお、富山県小矢部市での自然共生サイト認定は本件が初めてです。
自然共生サイトは、企業や団体など民間の取組により生物多様性の保全が図られている区域を国が認定する制度です。認定された場所は、OECM(Other Effective area-based Conservation Measures:保護地域以外で生物多様性の保全に資する区域)として世界データベースに登録され、2030年までに陸と海の30%以上の保全を目指す国際目標「30by30」※1 にも貢献します。
「興法寺の湿地およびゴルフ倶楽部ゴールドウイン」(以下、本サイト)は、富山県小矢部市南部の雑木林や農地が広がる蟹谷丘陵(かんだきゅうりょう)に位置しています。元の地形を活かして造成され、ゴルフ場開業の1991年以降も適切な管理によって良好な生態系が保たれてきました。
これまでに国や県の絶滅危惧種17種を含む314種の動植物の生息が確認されています。本サイトの一部には、富山県の天然記念物指定地「興法寺のハッチョウトンボとその発生地附興法寺のトンボ類の群生地」も含まれており、富山県教育委員会や小矢部市教育委員会にも協力いただいて自然共生サイトの認定に向けた申請準備を進めてきました。

写真:天然記念物指定地の湿生植物群落
今回の認定では、以下4つの生物多様性の価値が本サイトに認められました。
- 公的機関によって、生物多様性保全上の重要性が既に認められている場としての価値
- 里地里山といった二次的な自然環境に特徴的な生態系が存する場としての価値
- 生態系サービス提供の場であって、在来種を中心とした多様な動植物種からなる健全な生態系が存する場としての価値
- 希少な動植物種が生息している場あるいは生息生育している可能性が高い場としての価値
▼ 本サイトで確認された希少な動植物


写真:サンショウクイ(環境省レッドリスト:絶滅危惧II類)撮影:中村忠昌
本サイトでは、「天然記念物指定地の湿地環境の再生」、「新たな草原環境の創出」、「池の自然再生」といった施策を順次実施します。すでに、天然記念物指定地では、富山県教育委員会や小矢部市教育委員会、興法寺をはじめとした地域の皆様、富山県西部森林組合の皆様、NACS-Jの自然観察指導員の皆様にもご協力を得て、再びハッチョウトンボも生息できる湿地環境の再生を目指して取組みを開始しています。
今後もNACS-Jは、ネイチャーポジティブ(※3)の実現を目指し、地域や企業、専門機関と連携して自然環境の保全や再生に取り組んでまいります。
※1 30by30(サーティ・バイ・サーティ)
2030年までに、陸と海の30%以上を健全な生態系として保全しようとする目標。2022年に生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」では、2030年グローバルターゲットの1つに盛り込まれた。また国内でも2030年までのネイチャーポジティブ実現に向けた目標の一つとして30by30目標を位置付けている。目標達成のためには、国の取組を推進することに加え、民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域を広げていくことも重要とされている。
※2 レッドリスト
絶滅の恐れがある野生生物を科学的な知見に基づいて評価、リスト化したもの。国のレッドリストは環境省が作成しており、都道府県単位のレッドリストもある。富山県も作成している。
※3 ネイチャーポジティブ
人と地球のために、生物多様性の損失に歯止めをかけ、自然を回復させること。第15回生物多様性条約締約国会議で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」で2030年までのミッションとしてこの考え方が掲げられた。日本の「生物多様性国家戦略2023-2030」にも国家目標としてネイチャーポジティブの実現が掲げられている。
関連情報
「富山県小矢部市でネイチャーポジティブの実現を目指した生物多様性保全活動をスタート ~ハッチョウトンボも生息できる湿地環境の再生などを目指す~」
公益財団法人日本自然保護協会について1951 年創立の日本で最も歴史のある環境NGO。ダム計画が進められていた尾瀬の自然保護を皮切りに、屋久島や小笠原、白神山地などでも活動を続けて世界自然遺産登録の礎を築いてきた。「自然のちからで、明日をひらく。」という活動メッセージを掲げ、人と自然がともに生き、赤ちゃんからお年寄りまでが美しく豊かな自然に囲まれ、笑顔で生活できる社会を目指して全国で活動している
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