写真フェスティバル「T3」、2026年10月3日より 東京・八重洲、日本橋、京橋エリアの都市空間を舞台に24日間に渡って開催

ルーカス・フォグリア〈Constant Bloom〉より
技術・才能・寛容性、3つのTが交差する場所に文化は生まれる--
そのコンセプトのもと、世界からトップアーティストと主要文化機関のキュレーターたちを迎える写真フェスティバル「T3」が、8回目の開催を迎えます。
【2026年のテーマ|「と(&)」】

「と」は、日本語でいちばん小さな接続詞です。
けれど、世界のかたちを決めているのはこの小さな一文字かもしれません。
「自分と他者」「男と女」「自然と都市」--私たちはいつの間にか、「と」をどちらかを選ぶための区切りとして使っています。ですが、表裏一体や陰陽という言葉があるようにアジアには二項対立ではない「ものの見方」があるはずです。
写真は、もともと「と」の芸術です。撮る者と、写る者の眼差しが交差し、写真となった世界の断片は並べられ繋がり、作品と、見る者が、静かに触れる。
T3 2026は、世界中の写真家たちとともにこの最も小さな接続詞「と」から世界の可能性を問い直す24日間です。
EXHIBITIONS
先行して4つの展示を紹介します。【メイン企画展2】を含む残りの作家は8月上旬に発表します。
【メイン企画展1】
ルーカス・フォグリア
会場|東京ミッドタウン八重洲

ルーカス・フォグリア〈Constant Bloom〉より

ルーカス・フォグリア〈Constant Bloom〉より
Constant Bloom
ペインテッド・レディ(ヒメアカタテハ)は、世界最長の渡りを行う蝶である。アフリカから中東、地中海を越え、ヨーロッパへと移動するその軌跡を追いながら、Lucas Fogliaは、同じように国境を越えて移動する人々の姿を記録した。
『Constant Bloom』は、自然と人間、生態系と政治的境界線を切り離されたものとしてではなく、ひとつの連続した風景として捉え直そうとする作品だ。蝶の移動と人間の移動。その二つが重なるとき、私たちが「境界」と呼んでいるものの曖昧さが静かに浮かび上がってくる。
Lucas Foglia(ルーカス・フォグリア)
1983年生まれ、アメリカ出身。ブラウン大学(2005年、BFA)、イェール大学(2010年、MFA)卒業。「人間と自然の関係」を一貫したテーマに据え、明確な美学と叙情的な視点で社会問題を写真に昇華させる。2024年度グッゲンハイム・フェローに選出。国際写真センター(ICP)、ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)、デンバー現代美術館、ナショナル・ギャラリー・オブ・アート、サンフランシスコ近代美術館、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館など、数々の美術館で所蔵・展示されている。2025年に刊行された6冊目の写真集『Constant Bloom』(ナズラエリ・プレス)は世界的に高い評価を得ている。
【企画展1】
サラ・ファン・ライ
会場|東京建物日本橋ビル+三栄ビル

Sarah van Rij, Tullips, 2026

Sarah van Rij, Florence, 2021
Atlas of Echoes(仮)
サラ・ファン・ライは都市を歩き、記録しているのか、構築しているのか--その問いに答えないまま、シャッターを切る。通行人は都市という劇場の登場人物となり、窓越しのシルエット、落ちた影、動く手の断片が、ひとつの詩的な物語へと編まれていく。T3では、パリ、ニューヨーク、ソウルを歩いて生まれた作品を、三栄ビルの屋外壁面と東京建物日本橋ビルの内部空間に展開。東京の街そのものを、作品のあらたな舞台として取り込む。
Sarah van Rij(サラ・ファン・ライ)
1990年、オランダ生まれ。独学で写真を学び、現在はアムステルダムとパリを拠点に活動。ニューヨーク、パリ、ソウルなど様々な都市のストリートで日常の断片を切り取った作品 を制作する。どこかノスタルジックでありながら現代的な要素を持つ表現は、いつか見た夢のような印象を与える。
【企画展2】
アントニー・ケアンズ、ピータン|STUDIO + 拡張する現代写真
会場|TODA BUILDING

Exhibition view 'PXL CTY' by Antony Cairns at MEP - Maison europeenne de la photographie, Paris, 2022. (C)Tadzio

(C)PIDAN Arrival Without Movement
STUDIO+|拡張する現代写真 #2
Maison Europeenne de la Photographie(MEP)との国際共同企画
写真は「撮る(TAKE)」ことで世界を切り取り、「私とあなた」「光と影」「記録と表現」といった対立をその内に抱え込んできたメディアです。しかし、撮影から出力までを担う装置が進化し続ける現代において、写真の境界線はつねに曖昧で流動的なものになりました。現代写真のアーティストたちは、近代が強固に引いたその境界を軽々と越え、対立する二項を架橋しながら表現を切りひらいています。
本展は、MEP(パリ)が新進作家と実験的な写真表現を世界へ送り出すプラットフォーム「STUDIO」と連携した国際共同キュレーション企画です。「フランスと日本」「パリと東京」、そして「制度化された展示空間と、ビルの間隙」ーー複数の"と"が交差する本展は、T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2026 が掲げるテーマ「と(&)」そのものを、展示の構造で体現します。
Antony Cairns(アントニー・ケアンズ)
1980年ロンドン生まれ。銀塩写真の古典技法と旧来のデジタル技術を交錯させ、夜の都市を「データ」として異質な支持体へ再構築する現代写真の重要作家。本展では、1980年代のトイ・ビデオカメラ「PXL2000」で撮影した都市映像を抽象化するプロジェクト「PXL CTY」を発表します。(MEP Studio、Tate Modern「Shape of Light」、Rencontresd'Arles 等で発表)
PIDAN(ピータン)
中国出身、東京在住。物質がイメージへ変換されるプロセスと認識の変容を主題に、世界の「視認」と「誤認」を問い直す作家。本展では、「石を動かすと世界のバランスが崩れる」という禁忌を起点に、石を情報へと変換する《宇宙の一粒を持ち去ろうとした妄想/Arrival Without Movement》の一部を展示します。(KG+Select ノミネート、TOKYO FRONT LINE award 2025 準グランプリ)

MEP(メゾン・ユーロペンヌ・ド・ラ・フォトグラフィー)は、フランス・パリを代表する写真芸術の国際機関であり、著名作家から次世代アーティストまで幅広い展示を行っています。その中でも「STUDIO」プログラムは、若手・新進アーティストに初個展の機会を提供する先鋭的な制度であり、MEPが作品制作費を負担し、報酬も支払う支援型のモデルを採用しています。このプログラムは写真と文学、映像、科学などの異分野横断的対話も重視されており、近年の欧州文化政策の先端的事例としても注目されています。
【企画展3】
鈴木のぞみ×上原沙也加
会場|Gallery & Bakery Tokyo8分(TODA BUILDING 1F)

鈴木のぞみ《見沼代用水 通船堀をデザインした欄干の穴から 緑区 埼玉》 2023年 <Monologue of the Light>より

上原沙也加《沖縄県 豊見城市 瀬長》2017年<眠る木>より ※受賞時の作品名「The Others, 2016-2019」から改訂
鈴木のぞみと上原沙也加|キュレーター:大澤紗蓉子
ある場所に刻まれた記憶は、誰の眼差しで見るかによって、まったく異なる姿を現します。鈴木のぞみは、人間を眼差しの主体とせず、モノや場所そのものが見つめてきた風景を視覚化します。上原沙也加は、複雑に折り重なる時間と出来事の痕跡を、風景の細部からすくい上げます。同じ問いに、両側から向き合う二人が、「写真の町」東川町所蔵の作品と本展示用の作品を携えて東京に集います。
https://artsticker.app/events/139361
鈴木のぞみ
写真の原理を通して、光の諸現象により事物に宿る潜像のような記憶の顕在化を試みている。近年の展覧会に「Slow Glass ― The Mirror, the Window, and the Door」(ポーラミュージアムアネックス2025)
上原沙也加
風景のなかに立ち現れる記憶や傷跡、場所や物が保持している時間の層をとらえる実践として写真作品を制作。近年の展覧会に「たとえすべての瓦礫が跡形もなくきれいに片付けられたとしても」(横浜市民ギャラリーあざみ野2026)
大澤紗蓉子(キュレーター)
横浜美術館主任学芸員。多摩美術大学大学院美術研究科芸 術学専攻修了。2012年より現職。
主な展覧会に「石内 都 肌理と写真」(2017-2018)、「戸田沙也加展 沈黙と花」(2025)など。
【Message】
期間中は国際的なキュレーターやアーティストたちによるシンポジウムも開催予定。
いち早く、ポンピドゥー・センター キュレーターのフロリアン・エブナーからT3 2026についてコメントをいただきました。

Florian Ebner (C) Wolfgang Tillmans, 2024
現代写真を理解するうえで大切なのは、どの作品が展示空間の壁面で力を発揮し、どの作品が写真集のページの上でこそ本来の姿を見せるのかに目を向けることです。写真表現の広がりはいま、かつてなく多様になっています。空間の中でしか成立しない作品がある一方で、本というかたちの中でのみ存在し得る作品もある。
写真とAIをめぐる議論が続くなか、その応答のひとつは、写真が本来持つ感光材料そのものに立ち返ること、あるいはフォトブックという物語形式と、そこに生まれる個性的な表現の可能性に向き合うことではないでしょうか。日本で出版されたロバート・フランクの『The Lines of My Hand』や、森山大道の『写真よさようなら』を、AIが構想できたとは思えません。
だからこそ、今年フェアと連動してT3 BOOK MARCHEが開催されることを、嬉しく思います。アジアには豊かな出版文化が根付いているだけに、その意義は大きい。ヨーロッパではなかなか手に取ることのできない優れた作品や写真集と出会える場として、私自身も参加できることを楽しみにしています。
T3 ファウンダー・速水 惟広より

速水 惟広
本年のT3は「と」という最も小さな接続詞に目を向けています。日常の中で使う「と」という一文字の意味を意識的に変えてみる。誰もができることでありながら、その人の世界を見る眼差しを変えるインパクトを持つ行為です。
それは星座を発見することに近いように思います。点と点を「と」、「と」、「と」、とつないでいくことで、今までそこにあったのに見えていなかった風景を日常の中に発見する。今年T3に集まる写真家たちも、まさに星座を描く人たちです。道端を飛ぶ一匹の蝶と、国境を越える人間の移動をつなぐルーカス・フォグリアのように。
T3というイベントも、東京を舞台に新たな星座を描こうとしています。フェスティバルとアートフェアという、批評とマーケットの点をつなぎ、アジアの写真コミュニティと欧米のそれを同じ場所に立たせます。それは決して専門家のためだけのものではありません。八重洲、日本橋、京橋の都市空間を舞台に、展示を目的に訪れる人と、偶然そこを通りかかった人が、意図せず同じ作品の前に立つ。その瞬間もまた、「と」なのです。
【開催概要】
「写真」という日本が誇る文化資産を用い、東京駅の真正面に位置する八重洲・日本橋・京橋エリアの都市空間を横断して展開するアートフェスティバル「T3」は、2026年10月3日より24日間に渡って開催します。2025年には93.6万人もの来場者を迎え、8回目となる2026年も100万人に近い来場者を見込み、東京をアジアにおける写真文化のハブとして世界に打ち出していきます。
日程|2026 年 10月3日(土)~26日(月)
*10月2日(金)プレス向け内覧会を予定
*T3 PHOTO ASIAは10月16日(金)~19日(月)にTOFROM YAESU TOWER 6F「東京建物 ぴあ シアター&カンファレンス」で開催
開催エリア|東京・八重洲、日本橋、京橋、銀座エリアの屋内、屋外会場 入場: 無料
主催|一般社団法人 TOKYO INSTITUTE of PHOTOGRAPHY
主管|株式会社シー・エム・エス
企画|T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 実行委員会
HP|https://t3photo.tokyo/
公式インスタグラム|@t3photofestivaltokyo

助成|クリエイター支援基金
【T3とは|東京を、写真の都に。】
「T3」は、社会学者リチャード・フロリダが提唱した都市の創造性を育む3条件--技術(Technology)、才能(Talent)、寛容性(Tolerance)--に由来します。その3つのTが重なる場所に、新しい文化は生まれる。写真を通して、東京をパリやニューヨークと並ぶアジアを代表する文化の発信地へ。それがT3の目指すところです。
本年は、10月16日(金)~19日(月)にかけて写真フェア「T3 PHOTO ASIA」をはじめ、様々なプログラムを予定。また10月6日(火)~11月14日(土)にかけて、パリ日本文化会館(フランス)においても日本の現代作家を紹介する展示Five Views『箱庭日本』を開催します。
■ T3 PHOTO ASIA
アジア全域における写真の文化的・創造的な可能性を再考することを目的にスタートした写真フェア。地域の歴史や美学、ユニークなローカルストーリーに光を当てることで、アジアのギャラリー、アーティスト、機関をつなぐプラットフォームを目指します。単なる写真フェアではなく、アジアの写真文化を発見・文脈化し、その価値を東京から世界へと発信するダイナミックなエコシステムの構築を目指しています。
会場|TOFROM YAESU TOWER 6F「東京建物 ぴあ シアター&カンファレンス」
ディレクター|金廷恩(キム・ジョンウン)
開催日|2026年10月17日(土)、18日(日)、19日(月)*10月16日(金)はVIP DAY
■ T3 BOOK MARCHE
T3 BOOK MARCHEは、アーティストや出版者が自ら作品を持ち寄るブックフェアです。作り手と受け手が直接出会う場として、地域を横断するアジアの写真集や作品が一堂に集います。T3 PHOTO ASIAと同時開催することで、批評とマーケット、機関と個人、展示と出版、そして親密さと距離という、写真をめぐる異なる回路が、同じ場所に並び立ちます。
ディレクター|金秋雨(キン・シュウウ)
開催日|2026年10月17日(土)、18日(日)
■ T3 Talk Program
ホイットニー美術館、ポンピドゥー・センター、シカゴ美術館--世界の主要文化機関のキュレーターたちが東京に集い、写真とアジアの現在を語る3日間。
・ドリュー・ソイヤー/ホイットニー美術館 キュレーター
・フロリアン・エブナー/ピンピドゥーセンター 写真部門チーフキュレーター
・ジュリー・ジョーンズ/ヨーロッパ写真美術館 ディレクター
・イェチェン・ザオ/シカゴ美術館 写真部門キュレーター
※その他国内外からの全ゲストは8月に発表予定
開催日|2026年10月17日(土)、18日(日)、19日(月)
■ T3 NEW TALENT
「Five Views-箱庭日本-」
世界に向けて活躍できる現代作家やキュレーターを発掘・支援することを目的にスタートした 「T3 NEW TALENT」。そこで選ばれた5組の日本人作家による展示「Five Views- 箱庭日本-」がパリ日本文化会館にて開催されます。参加作家は THE COPY TRAVELERS、千賀健史、鈴木麻弓、南川恵利、宮地祥平の5組。それぞれが写真を独自の視点から捉え、思考や物語、社会との接点を探る表現を展開します。
開催日|2026年10月6日(火)~11月14日(土)
会場|パリ日本文化会館 地上階エントランスホール
キュレーター:小高美穂
コーディネーター(T3 NEW TALENT 育成対象者):玉置慎輔
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