大分マリーンパレス水族館「うみたまご」で、ショーの解説をスマホへリアルタイムに多言語字幕で届ける実証を開始

大分県内3社が共同開発。外国人観光客への対応に加え、音声が届きにくい方や災害時の安全案内にも活用できる仕組みを検証

大分マリーンパレス水族館「うみたまご」で、ショーの解説をスマホへリアルタイムに多言語字幕で届ける実証を開始
スタッフ向け管理画面と、来場者が利用する言語選択・ショー選択・字幕視聴画面

大分マリーンパレス水族館「うみたまご」を運営する株式会社マリーンパレス(所在地:大分県大分市、代表取締役:橋本均、以下「マリーンパレス」)、JYAKU株式会社(所在地:大分県大分市、代表取締役:山内耀太、以下「ジャク」)および株式会社deserve(所在地:大分県大分市、代表取締役:甲斐和幸、以下「ディザーブ」)の3社は、水族館のショーで話されるスタッフの日本語解説をリアルタイムに翻訳し、来場者のスマートフォンへ多言語字幕として届けるWebサービス(以下「本サービス」)を共同開発しました。音声ではなく文字で情報を届けることで、訪日外国人だけでなく、音声が聞き取りにくい聴覚に障害のある方にもショーの魅力を伝えられる点が特徴です。

本サービスを共同開発した株式会社マリーンパレス、JYAKU株式会社、株式会社deserve

3社は、2026年8月1日より、大分マリーンパレス水族館「うみたまご」で本サービスの実証を開始しました。来場者は専用アプリをインストールすることなく、館内掲示やパンフレット等に掲載されたQRコードから言語と見たいショーを選ぶだけで利用できます。

本サービスを通じて、訪日外国人や聴覚障害のある方にもショーの内容や魅力を分かりやすく伝え、言語や聞こえ方にかかわらず楽しめる環境づくりを目指します。また、地震などの災害や緊急時には、安全案内を多言語の文字情報で届ける補助的な情報伝達手段として活用します。

実証概要

開始日:2026年8月1日
実証場所:大分マリーンパレス水族館「うみたまご」
対象:館内のショー、解説、館内案内、安全案内
対応言語:日本語、英語、簡体字中国語、繁体字中国語、韓国語
利用方法:館内のQRコードからWeb画面を開き、言語と見たいショーを選択

本実証では、実際のショーや館内案内における音声認識・翻訳の精度、スマートフォンでの字幕の見やすさ、来場者が迷わず利用できるか、スタッフが日常業務の中で無理なく操作できるかを確認します。

あわせて、よく使う案内文や、地震などの災害・緊急時における安全案内を、音声放送に加えて多言語の文字情報でも届ける運用について検証します。

大分県内3社が、うみたまごの現場から共同開発

本サービスは、うみたまごの実際の運用に合わせ、3社で仕様から検討して開発しました。うみたまごのショー運営や館内案内に関する現場知見、ジャクの現場の声を起点としたAI・デジタル活用支援の知見、ディザーブの映像・音響技術を活用したワークフロー設計の知見を組み合わせています。

3社はいずれも大分市に拠点を置いています。来場者が迷わず使えることと、スタッフが日常業務の中で無理なく運用できることを重視し、うみたまごの実際の運用を想定しながら、来場者画面と管理画面の機能・操作方法を検討してきました。

開発の背景

水族館のショーやイベントでは、生きものの特徴、行動、飼育員の解説、安全案内など、多くの情報が音声(日本語)で伝えられます。

しかし、来場者の母語が日本語ではない場合、目の前で行われているショーの意味や背景を十分に理解できないことがあります。また、館内放送やショー中の案内は、周囲の音、混雑、聞き取りづらさなどによって、すべての来場者に同じように届くとは限りません。

観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、2025年の大分県における外国人延べ宿泊者数は149万1,590人泊でした。全国47都道府県では18位、九州7県では福岡県、熊本県に次ぐ3位となっており、大分県は九州における主要な外国人旅行者の受け入れ地域の一つです。また、2019年と比べて23.6%増加しており、外国人来場者へ分かりやすく情報を届ける環境整備は、観光施設にとって継続的な課題となっています。(※1)

水族館には、照明を落とした展示空間や複数のフロア、分岐する館内動線があります。地震などの災害時には、外国人来場者や音声案内を聞き取りにくい方にも、避難方向やスタッフからの指示を速やかに伝えることが重要です。本サービスは館内放送に代わるものではなく、安全案内を多言語の文字情報でも届ける補助的な手段として活用します。

さらに、水族館のショーはリアルタイムに進行するため、紙の翻訳資料や固定された案内表示だけでは、その場で生まれる解説やショーの魅力を十分に伝えきれない場合があります。そこで3社は、現場スタッフの運用負担をできるだけ増やさず、そのとき話されている内容を来場者自身のスマートフォンへ届ける方法として、本サービスを開発しました。

なお、2024年4月には改正障害者差別解消法が施行され、事業者による合理的配慮の提供が努力義務から法的義務へと変わりました。音声による解説が中心だった水族館のショーにおいて、文字による情報保障の手段を用意することは、この流れに沿った取り組みの一つでもあります。

※1 出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(2025年・年間値(確定値))」。
  全国順位および九州7県内の順位は、同調査の都道府県別外国人延べ宿泊者数をもとに3社で集計。
  https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/002010560.pdf

本サービスの主な特徴

1. 日本語の音声や文章を、5言語の字幕として配信
スタッフが管理画面で対象のショーを選び、日本語で話すと、音声認識と翻訳処理を経て、来場者のスマートフォンへ字幕を配信します。マイクを使わず、管理画面に入力した日本語の案内文を字幕として送ることもできます。

実証開始時点の表示言語は、日本語、英語、簡体字中国語、繁体字中国語、韓国語の5言語です。来場者は、選択した1言語または全言語の字幕を表示できます。
2. アプリ不要。共通のQRコードから利用
来場者は専用アプリをインストールする必要がありません。パンフレットや館内掲示のQRコードからWeb画面を開き、字幕の言語と見たいショーを順番に選ぶだけで利用できます。

入口となるURLは共通のため、ショーごとにQRコードを作り直す必要がありません。言語を選んだ後の見出しやボタン、ショー名、会場、フロアなども、選択した言語を基本として表示します。
3. カレンダーに登録したショー予定と字幕配信を連動
管理画面の月別カレンダーに、日付、開始時間、ショー名、フロア、会場などを登録・編集できます。スタッフは配信開始時に、登録済みの予定から対象のショーを選択します。

来場者画面では、現在時刻に応じて、これから始まるショーを表示します。選択したショーの字幕だけが表示されるため、同じ時間帯に複数のショーが行われる場合でも、ほかのショーの字幕が混在しません。配信した字幕と利用状況も、対象ショーに紐づけて記録します。
4. スマートフォンで読みやすい字幕表示
字幕視聴画面には、選択したショーの字幕を新しい順に最大2件程度表示します。最新の字幕を上、ひとつ前の字幕を下に配置し、過去の字幕は色を変えて区別します。字幕ごとに送信時刻を表示し、画面下部には視聴中のショーの時間、名称、会場を表示します。

管理画面では、実際の来場者画面をiPhoneやAndroidの画面サイズで確認できます。また、字幕の音声再生ボタンの表示有無や背景画像など、来場者画面の見え方を設定できます。
5. 館内案内や災害時の安全案内にも対応
館内案内や注意喚起など、よく使う文章をあらかじめ登録し、必要なときに管理画面から送信できます。災害時や安全確保に関する案内は安全案内として扱い、通常のショー字幕とは異なる赤系の表示で届けます。

また、館内の既設ミキサーや非常用放送機器の音声を管理端末の入力として受ける構成に対応しています。非常時の館内放送を多言語字幕に変換し、来場者のスマートフォンへ届けることで、音声放送を補完する情報伝達手段として活用します。
6. 水族館固有の専門用語を登録し、現場での操作を支援
生きものの名前、ショー名、館内施設名、専門用語と各言語の訳語を事前に登録できます。登録内容を音声認識・翻訳時の補正に利用し、水族館ならではの言葉を意図した表記に近づけます。

音声配信画面では、使用するマイクの選択と音声波形による入力確認ができます。一定時間無音が続いた場合は配信を自動停止し、サービス画面内のモーダルでスタッフに通知します。
7. 字幕履歴と利用状況を記録・出力
管理画面では、秒単位の送信日時、対象ショー、日本語の原文、各言語の翻訳結果を確認できます。字幕履歴と来場者の利用状況は画面上で切り替えて確認でき、それぞれCSV形式で保存できます。

利用状況は、ショー別、時間別、日別、選択言語別に確認できます。実証を通じて、どのショーで字幕が利用されたか、どの言語が選ばれたかを把握し、案内方法やショー運営の改善に役立てます。なお、言語別集計は、来場者が選択した字幕言語に基づく傾向であり、国籍を判定するものではありません。

今後の展開

今後は、うみたまごでの実証から得られる意見や利用状況をもとに、字幕の見やすさ、音声認識・翻訳の精度、スタッフ向け管理機能、安全案内の運用方法を継続的に改善します。

また、3社は本サービスに加え、魚名板(※2)のデジタル化など、観光施設の情報発信や案内業務を改善する取り組みも進めております。大分県内の観光施設が、現場の負担を抑えながらインバウンド対応とアクセシビリティ向上を進め、防災の観点から安全情報を発信できる選択肢をつくります。将来的には、うみたまごで得た知見を大分から日本全国へ展開し、言語や聞こえ方にかかわらず、誰もが水族館を安心して楽しめる環境づくりを目指します。

※2 魚名板:水槽や展示スペースに設置し、魚類をはじめとする生きものの名称、生態、特徴などを来場者へ伝える案内表示。

会社概要

株式会社マリーンパレス
所在地:大分県大分市大字神崎3078-22
代表者:代表取締役 橋本均
事業内容:大分マリーンパレス水族館「うみたまご」経営
     うみたま体験パーク「つくみイルカ島」運営
URL:https://www.umitamago.jp/
JYAKU株式会社
所在地:大分県大分市東春日町17-20 大分第2ソフィアプラザビル5F
代表者:代表取締役 山内耀太
事業内容:現場の声を起点としたAI・デジタル活用支援
URL:https://jyaku.jp/
株式会社deserve
所在地:大分県大分市古ケ鶴1丁目8-1 A.P MIENO202
代表者:代表取締役 甲斐和幸
事業内容:映像・音響・IT技術を活用した快適なワークフローと空間設計の提供
     企業施設・放送業界への情報配信
     コンテンツ開発
URL:https://www.deserve-inc.com/

本件に関するお問い合わせ先

JYAKU株式会社(担当:山内)
メールアドレス:[email protected]

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