宮本亞門さんら経験者が登壇 ひきこもりへの理解広める全国キャラバン 大阪皮切りにスタート
パルシステム連合会が企画委員を務める、厚生労働省「ひきこもりに関する地域社会に向けた広報事業」の一環として、6都市を巡る「ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン2026」が8月22日(土)、グラングリーン大阪(大阪府大阪市)とオンラインで開催され、総勢210人が参加しました。ひきこもりの経験を持つ演出家の宮本亞門さんやお笑い芸人の山田ルイ53世さん、インフルエンサーのまいきちさんらが登壇し、ひきこもりの経験や支援者、家族の声と思いを伝えました。

▲左から山田さん、まいきちさん、宮本さん
全国キャラバンは2022年から開始され、これまでに28都市で開催しており、今年度は大阪を皮切りに青森、山梨、岐阜、岡山、宮崎の6都市を巡ります。誰もが生きやすい社会を目指して当事者の多様な声を届けるため、宮本さん、山田さん、まいきちさんが「ひきこもりVOICE STATIONフレンズ」を結成し、各都市を訪れます。大阪会場では、セッション1に3人が登壇し、それぞれの経験や当時の思いを語りました。
目の前の「とりあえず」の積み重ね
山田さんは自分の意思で中学受験に挑戦し、名門校に合格した成功体験から、完璧でないと意味が無いという強迫観念に捉われるようになりました。優秀な成績を修めスポーツでも認められていましたが、中学2年生で通学中の失敗を契機に、6年間のひきこもりを経験しました。
20歳を前に、成人式のニュースを見た時に「同世代が遠くへ行ってしまう」と強い焦りを感じたそうです。これをきっかけに完璧を捨て、「とりあえず玄関まで行こう」「靴につま先を入れてみよう」とミリ単位の「とりあえず」を積み重ねることで、物理的に外へ出られるようになったと明かしました。
母で始まり終わったすれ違い
まいきちさんは幼少期から成績優秀でしたが、中華系の小学校から日本の公立への転校を機に、感情を明確に伝える文化とのギャップで仲間外れにされるようになりました。中学までは我慢して登校していたものの、コロナ禍となり自身も罹患すると、総フォロワー数90万人だったSNSで誹謗中傷を受けました。心身の不良を起こし病院を受診すると、抑うつ状態であると診断され、母は拒絶の言葉を発したそうです。
教育熱心な母の意向で学業や習い事を頑張っていたまいきちさんは、家族も敵だと思うようになり部屋から3年間出られなくなり、自身の体を傷つけるようになりました。「幸せになってはいけない自分はいなくなろう」と思いやった試みは失敗し、気が付くと母親の腕の中にいて、悲しませたくないと感じたそうです。
「どうしたらよいのか分からない、教えてほしい」との母の言葉で「母で始まり、母で終われた」と感じ、対等に本音を吐露できるようになったと話します。
人間は不完全で愛おしい
宮本さんは幼少期から、日本舞踊や茶道、仏像鑑賞などに興味がありました。人と関心が違うことでからかわれた経験から、本当の自分を隠して周りに合わせ、明るく振る舞いながら自己否定する学生時代を過ごしていました。高校で限界を迎え、1年間部屋にひきこもりました。母のせいだと責める父が、日本刀まで持ち出した言い合いをきっかけに部屋を出て、精神科の受診につながったそうです。
演出家として人と関わる仕事を選んだ今も、恐怖や不安を感じるけれど「普通」や「完璧」に捉われる必要は無いと話します。「人間は間違え、失敗するから魅力があります。ひきこもりにも定義はなく、悩みや経験は全員違うからこそ世界は面白いのです。お互いが、自分だけではないと感じられる場やつながりが大切です」とメッセージを伝えました。
ひきこもりボイス川柳で伝える思い
セッション1の最後には、現在募集をしている「ひきこもりボイス川柳」で作る「ひきこもりボイスカルタ」を紹介しました。当事者や家族の思いを川柳で表現し、一人ひとりの経験が誰かの気付きや理解を広げるきっかけになることを目指しています。
宮本さんは「僕だけと思っていたら君もいた」と自身の句を紹介し、人はそんなに人のことを気にして見ていないし、今日のようにお互いの思いを共有できればほっとできると思いを語りました。
まいきちさんは「閉じた部屋 夢だけ外を歩いてた」と詠み、渦中にいた頃は部屋から出られなかったがSNSで思いを発信していた時の心境を紹介し、おかげで今はこうして外に出られていると話しました。
山田さんは「日焼けしたかつての友が窓の外」と、自身が部屋にひきこもり、望遠鏡で外を歩く友人たちを観察していたころの風景を俳句にしたためました。
3人は、それぞれの俳句への感想や経験を話し合ったことを振り返り、ひきこもりの渦中にいる人が今感じている思いなどをエントリーして欲しいと呼びかけ、セッション1を終了しました。
「へにゃ感」や「斜めの関係」で支え合う
セッション2は「へにゃ感で生きる」をテーマに、公認心理師・臨床心理士として相談支援に携わる大阪経済大学人間科学部准教授の岩田光宏さんをアンバサダーに迎え、ひきこもり経験がある介護福祉士の高木信洋さんとKHJ全国ひきこもり家族会連合会共同代表の日花睦子さんがそれぞれの思いを語りました。

▲左から岩田さん、日花さん、高木さん
「へにゃ感」は高木さんが発案した言葉です。「へにゃ感で実感しよう安心感」という俳句を紹介し、きっちりした結果を求めすぎず、力を抜き互いの弱さを認め合える安心感だと説明します。人と会うことも、会うと考えることも疲れてしんどい時には「何にもなし」であることも大切で、そのような「へにゃ感」により、笑顔になれたと当時を振り返ります。
日花さんは、19歳からひきこもる息子との向き合い方に葛藤していた時期の思いを「寝てる君 胸の上下にほっとする」という句にしたためました。当時は日々自分を責めていましたが、家族会との出会いで「親が自身の人生を楽しみ、元気でいることが本人の安心につながる」と気づいた経験を語ります。
親子では感情的になりやすいコミュニケーションも、親世代の第三者との「斜めの関係」であれば思いやりも生まれ、本人の支えになると紹介しました。
高木さんは、市役所での相談支援の業務を経て、現在所属する大阪経済大学という外の視点に立った経験から、公的支援のみではなく、地域ぐるみで安心して暮らせる社会づくりを進める必要を語ります。これを、チームで補い合う「団体戦」と表現し、灯台のように遠くから「おーい」と存在を認め合い、本人のタイミングが合った時にそっと手を差し伸べられる距離感の大切さを提示しました。
3人は、何気ないつながりや、会っていない時でも思い合える関係が人を生かしていくと確認し合い、誰かとの出会いや安心感が広がって欲しいとのメッセージでセッションを締めくくりました。
キャラバンは今後も5つの都市で開催をしていきます。各開催場所ではセッション1のパネルトークのあと、セッション2として「生きづらさをテーマにグループで対話し、キーワードを拾い出し川柳にしたためる」ワークショップを開催します。

ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン開催概要
【開催日時、開催都市@会場】
9月5日(土)青森県青森市@青森福祉会館/大会議室
9月13日(日)岐阜県岐阜市@岐阜県商工会議所/大ホール
10月10日(土)山梨県甲府市@かいてらす(山梨県地場産業センター)/大ホール
10月17日(土)岡山県岡山市@岡山国際交流センター/イベントホール
11月14日(土)宮崎県宮崎市@ひなたキャンパス/講堂
【スケジュール】
セッション1 13:00~14:20 パネルトーク
・ひきこもり経験者の体験談を通して当事者の声を聞き、理解を深める。
セッション2 14:30~16:00 ワークショップ
・生きづらさをテーマにグループで対話し、キーワードを拾い出し川柳にしたためる。
セッション3 16:10~16:30 参加者同士の交流タイム「ひきこもりボイスパーク」
・みんなで自由にゆるっと話せる交流の場。リラックスして感想や思いをシェア。
【申込はこちら】
【申込締切】各会場開催日前日17時
【詳細ページ】https://hikikomori-voice-station.mhlw.go.jp/event/
パルシステムはこれからも、多様な人たちとのつながりにより、さまざまな状況に置かれる人たちの声に耳を傾け、誰もが暮らしやすい地域づくりを進めていきます。
パルシステムの情報メディアKOKOCARA
https://kokocara.pal-system.co.jp/keyword/homebody/
パルシステム生活協同組合連合会所在地:東京都新宿区大久保2-2-6 ラクアス東新宿、理事長:渋澤温之
12会員・統一事業システム利用会員総事業高2,689.6億円/組合員総数177.0万人(2026年3月末現在)
会員生協:パルシステム東京、パルシステム神奈川、パルシステム千葉、パルシステム埼玉、パルシステム茨城 栃木、パルシステム山梨 長野、パルシステム群馬、パルシステム福島、パルシステム静岡、パルシステム新潟ときめき、パルシステム共済連、あいコープみやぎ
HP:https://www.pal-system.co.jp/
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