【実施報告】ウィッシュ・バケーション@京都・るり渓 2026「一歩、踏み出す。」

2つの家族と、迎えたスタッフ。それぞれの中にあった"ここまで"を、少し越えた3日間

公益社団法人 難病の子どもとその家族へ夢を(東京都中央区、代表理事:大住 力)は、2026年9月5日(土)から7日(月)の2泊3日、「ASOBIYUKU京都るり渓温泉」(京都府南丹市)において「ウィッシュ・バケーション@京都・るり渓 2026」を実施しました。

難病を患うお子さんとご家族を無償でご招待するこのプログラムは、これまでるり渓温泉でも開催を重ねてきました。るり渓温泉での開催は、今回で6回目。中岡さん家(4名)、竹村さん家(4名)の両家族が、この3日間を共にしました。



■ 心待ちにしたウィッシュ・バケーション
中岡さん家はマイカーで、竹村さん家はるり渓温泉のシャトルバスで到着しました。大勢のるり渓温泉スタッフ、そして入社1年目の「ウォーリー」役の新入社員たちが出迎え、お母さんの一人が涙を浮かべました。





宿泊したのは、2026年2月に誕生した温泉付き一棟貸しヴィラ「ASOBIYUKU VILLA」。部屋に入った一糸ちゃんは「シナモロールの風船、嬉しすぎる!」と声をあげました。凪月ちゃんは、ブルーイの風船と人形を抱えてはしゃぎました。

夜は、両家族でケーキを囲んだあと、手持ち花火をしました。

最初は火を怖がっていた子どもたちも、次第に自分で点火できるようになりました。

咲空ちゃんが花火を見つめる横で、一糸ちゃんがその手を支えました。
凪月ちゃんも、稜ちゃんと咲空ちゃんに同じように花火を見せていました。









■ 「できる」は、誰が決めるのか
咲空ちゃんは、普段は医療用バギーで移動しています。2日目のオフロードバギー体験で、乗り換えるところまでは、スタッフも家族も想定していませんでした。しかし・・・

「できないだろう」ではなく「やってみよう」

そうした、気持ちの中で、咲空ちゃんは自分でバギーの座席に足をかけ、跨りました。
見守っていたスタッフから、歓声があがりました。










プールも同じでした。咲空ちゃんにとって、これは人生で2度目のプールです。

事前の想定は「様子を見ながら、少しだけ」というものでした。お母さん・優岐果さんも、最初は水温を気にして短時間で切り上げるつもりでいました。

実際に入ると、咲空ちゃんと優岐果さんは、そのまま1時間、水の中で過ごしました。

竹村さん家の稜ちゃんも、バギーに乗りました。

昨年に続き、今回も担当いただいた、るり渓温泉スタッフの波多野碧さんは、こう振り返ります。
「稜ちゃんがどこまで楽しめるか、私たちの中にも、正直なところ慎重な気持ちがありました。実際には、しっかりとハンドルを握り、笑い声をあげながら走りきってくれて。『できる』か『できない』かを決めていたのは、私たちの方だったのかもしれません」

その驚きは、稜ちゃんのご家族にとっても、同じでした。
お母さん・祐子さんは、旅を終えてからこう振り返っています。

「これまでは、アクティビティはあまり反応が無いイメージだったので、家族だけでは積極的にやってきませんでした。楽しめることが分かったので、これからはアクティビティに対して積極的になれると思います」

スタッフが引いていた線も、
家族自身が引いていた線も、
同じ稜ちゃんの同じ3日間の中で、少しずつ動いていきました。

中岡さん家のお母さんは、一糸ちゃんとのふたり乗りで、最初は慎重にバギーを走らせていました。

「最近は、無理をしない、無理をさせない風潮があるけれど、せっかくの機会だから」というベテランスタッフの一言で、坂道のある林間コースに進むことを選びました。




安全のために。無理をさせないために。本人を思いやって。
そうした判断の中に、時として、その人の「できる」を先に決めてしまう瞬間があります。

今回、るり渓温泉のスタッフが繰り返していたのは、その手前で一度立ち止まる姿勢でした。
安全を確かめながら、最初から可能性を閉じない。できる方法を、一緒に探してみる――。





■ 「知る」ことは、世界を変えること
るり渓温泉スタッフの有本吏里さんが、
今回のウィッシュ・バケーションに加わったのは、直前のことでした。

その中で、有本さんと波多野碧さんは、優岐果さんのある想いに気づきます。

今まで、たくさん我慢させてきた一糸ちゃんに、お母さんとふたりだけの時間をプレゼントしたい--そんな「願い」でした。

叶える方法は、事前に用意されていたものではありません。

その日の午後、プールの時間。優岐果さんが咲空ちゃんにつきっきりで、一糸ちゃんの相手をする人が足りなくなった、その場で。有本さんと波多野さんは咄嗟に判断し、咲空ちゃんを引き受けました。

優岐果さんと一糸ちゃんの、ふたりだけの時間が生まれました。

中岡さん家のために「できる」を考え、実現したのは、他でもない、
有本さんと波多野さんご自身でした。



ふたりが水の中を並んで歩く様子を見ていた有本さんは、こう話します。

「ご家族の大切な願いが、またひとつ叶った瞬間に立ち会えた気がして。この仕事をしていてよかったと思える時間でした」

知らないまま参加した3日間が、有本さんにとって、自分の仕事の意味を見つめ直す時間になっていました。



■ 3日間が積み重ねたもの
最終日は、レザーのキーホルダーづくり。咲空ちゃんはお母さんと一緒にハンマーを握り、自分の名前を刻印しました。

お開きの会では、るり渓スタッフから「今日からがスタート」「いつでも遊びに来てください」との言葉が贈られました。この3日間たくさん交流したお母さん同士は連絡先を交換し、一糸ちゃんと凪月ちゃんも「東京に来る時は」「神戸に来たら」と再会を約束しました。

竹村さん家にとっても、この3日間は、旅の記憶以上のものを持ち帰る時間になりました。凪月ちゃんは、家に帰ってからも「新幹線に乗りたい」「一糸ちゃんに会いたい」と話しているそうです。

3日間、体調を崩す家族はなく、すべてのプログラムを完走することができました。









■ 代表理事 大住 力 コメント
一歩を踏み出すというのは、誰にとっても勇気のいることです。

でも、その一歩を踏み出してみると、見えてくるものがあります。待っていてくれる人がいる。助けてくれる人がいる。一緒に喜んでくれる人がいる。
「大丈夫、ひとりじゃない」ということは、頭で理解するものではなく、一歩踏み出し、誰かと共にあること・することで、少しずつ実感していくものなのかもしれません。

咲空ちゃんがオフロードバギーに跨った瞬間も、稜ちゃんがしっかりとバギーを乗りこなした瞬間も、有本さんがとっさに動いた瞬間も、すべて同じ一歩から生まれています。

一歩を阻んでいるのは、病気や障がいだけではないのかもしれません。私たち自身の中にある、「きっと無理だろう」という思い込みなのかもしれない――。

今回、るり渓温泉で起きていたのは、その「できる」と「できない」の境界線を、みんなで少しずつ手放していく3日間だったように思います。

「できるかもしれない」と思える人が一人増えること。
誰かの一歩を、自分のことのように喜べる人が一人増えること。
その小さな変化から、社会は少しずつ変わっていくのだと思います。

この3日間を実現できたのは、るり渓温泉の皆さま、そして何より中岡さん家、竹村さん家のご家族のおかげです。心より感謝申し上げます。
ウィッシュ・バケーションは、招待して終わりではありません。ここからが、すべての始まりです。
■ 開催概要
日程:2026年9月5日(土)~7日(月) 2泊3日
場所:ASOBIYUKU京都るり渓温泉(京都府南丹市)
招待家族:難病を患うお子さんとご家族 計2家族



■ ご協力
株式会社カトープレジャーグループ
ASOBIYUKU京都るり渓温泉
■ 法人概要
公益社団法人 難病の子どもとその家族へ夢を
代表理事
:大住 力
所在地:東京都中央区入船2-9-10 五條ビル4A
設立:2010年(2012年内閣府より公益社団法人認定)
公式サイト:https://www.yumewo.org
■ 本件に関するお問い合わせ
公益社団法人 難病の子どもとその家族へ夢を
ウィッシュ・バケーション担当
:伊藤 洋(いとう・よう)

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